カタール・ワールドカップのラウンド16で、日本はクロアチアにPK戦の末に敗戦。悲願のベスト8以上は果たせなかった森保ジャパンだが、最後まで力の限りを尽くして戦い抜いた。そのパフォーマンスを元日本代表MF藤田俊哉氏に採点してもらった。

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▼クロアチア戦に出場した日本代表全16選手の採点
スタメン)
GK
権田修一 7
DF
谷口彰悟 6
DF
長友佑都 6(64分OUT)
DF
冨安健洋 6
DF
吉田麻也 6
MF
遠藤 航 7
MF
堂安 律 6.5(87分OUT)
MF
守田英正 6.5(106分OUT)
MF
伊東純也 7
MF
鎌田大地 7(75分OUT)
FW
前田大然 9(64分OUT)

途中出場)
MF
三笘 薫 7(64分IN)
FW
浅野拓磨 6(64分IN)
DF
酒井宏樹 6(75分IN)
MF
南野拓実 6(87分IN)
MF
田中 碧 -(106分IN)
 
▼寸評
 クロアチア戦は、43分に前田のゴールで今大会初めて先制する展開となった。後半、1点のリードを保ちながらどのように勝ち切るか――。そうしたプランを遂行するには、ゲームコンセプトに基づいた、選手それぞれの状況に応じた柔軟性のあるプレーが重要となる。

 リードを奪ってからの日本は、そのゲーム展開において進むべき方向性に迷いがあったように見えた。主には、追加点を奪うのか、このままリードを守り切って終わるのかという点で、だ。もしかしたら、タフな戦いに慣れているクロアチアのプレッシャーを前に、縦への推進力が抑えられてしまったのか、ゲームが停滞していた時間が長かったと感じた。そのため、逆転勝ちした前回のスペイン戦に比べて、全体的な評価を下げざるを得ない。

 チーム最高点は先制点をマークした前田の「9」とした。それ以外では、右サイドで120分間アップダウンを繰り返した伊東、激しいデュエルをことごとく制した遠藤、中盤のスペースでボールを上手く引き出していた鎌田、モドリッチのミドルシュートを防ぐなど好セーブを連発した権田も高く評価し、いずれも「7」とした。

 鎌田は決定機こそ外したが、今大会で最もパフォーマンスが良かったのではないか。堂安とのコンビネーションは感じられなかったが、ボールを引き出す動きは秀逸だった。

 55分、日本はクロスボールから1点を奪われて同点とされた。伊東はそのクロスの対応に遅れたのはマイナス材料だが、それを差し引いても、日本における右サイドの安定性は、伊東の存在なくして成立しなかっただろう。

 途中出場の選手では、ジョーカーの三笘も「7」とした。相手DFに警戒されながらも、特にドリブルでチャンスを演出。得点こそ奪えなかったが、彼のドリブルがなければ後半以降は防戦一方だったはずだ。

 なお、PK戦負けは公式戦のルールでは引き分け扱いのため、PK戦は評価の対象外とした。

 こうしてクロアチア戦を振り返ると、この1試合で最も評価を高めたのは、やはり前田だ。現代サッカーではFWにも守備が求められるが、この日、前田は守備でも攻撃でも貢献できることを証明した。

 守備で評価されて終わるか、攻撃でも評価されて終わるかでは大違いだ。43分に挙げたゴールは、チームにとっても本人にとっても非常に価値がある一発となった。

【著者プロフィール】
藤田俊哉(ふじた・としや)/1971年10月4日生まれ、静岡県出身。清水商高―筑波大―磐田―ユトレヒト(オランダ)―磐田―名古屋―熊本―千葉。日本代表24試合・3得点。J1通算419試合・100得点。J2通算79試合・6得点。J1では、ミッドフィルダーとして初めて通算100ゴールを叩き出した名アタッカー。2014年からオランダ2部VVVフェンロのコーチとして指導にあたり、2016-17シーズンのリーグ優勝と1部復帰に導いた。以後、イングランドのリーズ・ユナイテッドや日本サッカー協会のスタッフなどを歴任。今年9月に古巣・磐田のスポーツダイレクターに就任した。

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