7日、カタール・ワールドカップ(W杯)での戦いを終えた日本代表が帰国。森保一監督やキャプテンのDF吉田麻也(シャルケ)が記者会見に参加した。
【写真】大勢のファン・サポーターが歓迎! 新時代を切り拓いた日本代表帰国に沸く!
「新しい景色」としてベスト8以上の成績を目指して今大会に臨んだ日本代表。グループステージではW杯王者のドイツ代表、スペイン代表と同居し、死の組とも言われた中、そのドイツとスペインに勝利。グループステージを首位で突破した。
目標であるベスト8まであと一歩と迫った中で、ラウンド16では前回大会準優勝のクロアチア代表を相手に先制。後半に追いつかれたものの、延長戦まで戦いPK戦に。最後は敗れてしまい、「新しい景色」は見られなかったが、新しい時代を切り拓くことができた大会となった。
日本中で日本代表を応援する機運が高まり、深夜帯、早朝の試合でも多くの人が観戦。いつになく大きく盛り上がった中、空港にも多くのファンが集まり、選手たちを歓迎していた。
帰国を迎えてくれたファン・サポーターに対しては「我々はカタールで戦っていたので、メディア上で多少知っていましたが、こんなに日本の皆さんが喜んでくれているとは思っていなかったので、空港で驚きを感じました」とコメント。「そして、我々の活動、選手が勇気を持って戦う姿勢、粘り強く戦う姿勢を喜んで頂けて本当に嬉しく思いました」と、日本国民の心を動かせたことを喜んだ。また「我々の方が『ありがとう』という喜びの気持ちですが、温かく出迎えていただき、本当に幸せな気分でした」と、歓迎の声に喜びを語った。
チームはこの日をもって一旦解散。4年間の戦いを終えた中、森保監督はチームに対して感謝の気持ちと、この先「新しい景色」を見るために必要なことを伝えたという。
「伝えたことは色々ありますが、まずは我々がこれまで活動してきた過程の中で、カタールにいなかった選手たちが道を繋げてくれ、日本のサッカーファミリーの皆さんが道を繋げてくれ、国民の皆さんが道を繋げてくれたことに感謝して、幸せな素晴らしい大会ができたことを噛み締めようと話しました」
「今後の日本のサッカーの強化として、もちろんチームの活動はありますが、選手個々が個の能力を上げることが日本の強化に一番つながると思いますので、選手たちには高い基準を持って、より高いレベルでプレーすること。そして、W杯基準という世界で勝つために何をすればよいかを常に持ち続けて、成長してほしいと伝えて終わりました」
「プラス、個の強さはもちろんですけど、チームの団結力、一体感、つながる力というのは日本の良さだと思うので、この強さを忘れない様にと伝えました」
目標こそ達成できなかったものの、大きく歴史を動かした日本。1993年に「ドーハの悲劇」を選手として味わった森保監督にとって、ドーハは大きく変わった土地になったようだ。
「順位的な歓喜にはなりませんでしたが、選手、スタッフと最高の準備と全力を尽くすことができましたし、国民の皆さんとサポーターの皆さんとチームが一体になって、W杯優勝経験のある国を敗ることができたりと、素晴らしい経験をすることができたと思います。ドーハの悲劇からドーハの歓喜を味わわせていただきました」
チーム作りを含め、大会中の闘い方については、スタッフ全員で決めながら、選手の意見を取り入れて決断したと森保監督は語る。
「大会を通しての戦いのなかで、色々な戦術・戦略を考えていく中で、コーチングスタッフが大会の全体像、目の前の一戦にどれだけベストを尽くせるか。勝利を目指して戦えるかということを考えて、チームの準備を進めました」
「選手からの選手目線で感じることを、吉田麻也キャプテンが選手から意見を聞いて、我々に伝えてくれる。それを一旦受け取って、我々が立てた戦術・戦略から選手の意見を生かしてチームとしての戦い方を選手にフィードバックするということで、これまでの活動、W杯でも一戦ずつ目の前の試合に勝利するということで戦いました」
「まずは監督が全て決めるという部分においては、最終決断はもちろん監督の責任として私がやってきましたが、選手たちは今回の大会でも恐らくですけど思い切って戦えたのは、コーチ陣が良い準備をしてくれて、試合に向けてのトレーニングを考えてくれる。選手たちのチーム戦術の把握、個々の役割を把握してもらうことのミーティング資料、映像の資料を身を粉にしてくれて準備してくれて、選手たちに絵を持たせてくれたことが、思い切ってプレーできることに繋がったと思います」
「そのベースから選手たちが状況に応じて、対応力を発揮するということ。ピッチ内でキャプテンをはじめとして非常に良いコミュニケーションを取りながら良い戦いを見せてくれたと思います」
そして惜しくもPK戦でベスト8を逃す形となった日本。キッカーは選手たちが立候補で決めたことが話題となった。
森保監督はキッカーの決め方については、これまでやってきたことを続けたとコメント。自分が決めていたほうが良かったという気持ちもある中で、勇気を持って手を挙げた選手たちを称えた。
「PK戦については、戦い方という部分で監督が決めるという部分、チームで順番を決めるということは準備はしてきましたが、これまで私がやってきた中で、毎回同じPK戦の戦い方をしていたので、今回も同じ様な形をとることにしました」
「後々、結果を掴み取れなかったということにおいては、そして選手に責任を負わせてしまったということでは、私が全て決めた方が選手にとっても良かったかなという部分もありましたし、結果ももしかしたら違っていたかもしれないというタラレバはありますが、まずは自分たちがやってきて、トレーニングもしてきましたし、そこに自信を持って最後気持ちを込めてPKを蹴ってもらうということで判断しました」
「PKを蹴ってくれた選手に関しては、本当に勇気のある決断をしてくれたと思います。口から心臓が飛び出るぐらい緊張とプレッシャーの中、選手たちが勇気を持って、自分がチームを勝たせる、日本に勝利をもたらせる、日本のために戦ってくれたという勇気を称えたいと思いますし、PK戦を見ていただいた方々は、日常生活に反映させていただき、失敗を恐れず、勇気を持ってチャレンジすることが大切なんだということを感じてもらえると嬉しいと思います」
また、この件について吉田は「全く同じやり方でニュージーランドにオリンピックで勝っています。僕がこのやり方が間違っていたとは特に思わないんですが、メディアを見ると事前に知っておくべきだった、決めておくべきだったというのがありますが、全部結果論じゃないかなというのがあって、逆にニュージーランドの時はそういうことは一つもなかったです。負けたから注目されるのであって、選手としては間違っていたとは思わないです」とコメント。キッカーの決め方は問題はないと感じているとした。
【写真】大勢のファン・サポーターが歓迎! 新時代を切り拓いた日本代表帰国に沸く!