【専門家の目|玉田圭司】日本に立ちはだかった16強の壁、4年後に向け目指すべき姿に見解

 日本代表はカタール・ワールドカップ(W杯)の決勝トーナメント1回戦でクロアチア代表にPK戦の末に敗れ、2大会連続でベスト16止まりとなった。最大の目標に掲げていたベスト8入りには、何が足りなかったのか。かつて、名古屋グランパスや柏レイソルで活躍し、W杯2大会連続出場経験を持つ元日本代表FW玉田圭司氏に、今後の日本サッカー界が目指すべき姿を訊いた。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 日本サッカー史上初の8強入りは、前回大会の準優勝国であるクロアチアに阻まれた。日本は前半43分にセットプレーの流れから前田のゴールで先制。しかし、後半にFWイバン・ペリシッチのヘディングシュートで追い付かれ、1-1のまま延長戦でも決着が付かす、迎えたPK戦で1-3と敗れた。

 グループリーグでは、優勝経験国であるドイツ代表、スペイン代表から大金星を挙げ、世界に衝撃を与えた日本。その戦いぶりは各国メディア上で称賛された一方、16強の壁を破れず世界との差を改めて思い知らされた。玉田氏は「ドイツ、スペインに対し、W杯で勝てる実力が日本にはあることを証明した」と評価するものの、課題にも触れた。

「正直なところ、もう一回、スペイン、ドイツと戦った時に勝つのは難しい。今回のW杯で見せた戦い方だと10回中、1~2回勝てるくらいのものだと思うんですけど、この先目指すのは強豪国と言われるチームと戦った時、確実に勝ち点3、勝ち点1を取れるサッカーをすること。世界を相手にしてもある程度、主導権を握りつつ、臨機応変に戦っていけるようになる力はあると思うので、そこを目指さないといけない」

 今大会の日本は、前線からのハイプレスを生かし、高い位置でボールを奪った流れからショートカウンターを繰り出す戦いを拠りどころに勝機を見出した。その戦いはある程度功を奏した一方、限られたチャンスを生かせるかどうかで、結果が左右されるのも否めない。リアクションからアクションへ、W杯という大舞台で主導権を握りながら攻め勝つサッカーをいかに体現できるかが8強進出への鍵となる。

 一方で玉田氏は、今大会では“日本らしさ”が目に付いたとも指摘する。

「まとまってやる、最後まで諦めない、ハードワークするっていうのは強豪国と比べても上回っていたと思うので、そういうものは継続しながら、世界相手にも主導権を握る時間を増やしていけるサッカーを展開していければ、大袈裟ではなく強豪国になれると思う。そういった日本らしさを継続しつつ、レベルアップする方向性で4年後に向かってほしいなと思います」

 日本はカタールW杯で確かなインパクトを残したものの、またも16強の壁が立ちはだかった。4年後、そのハードルを乗り越えられるか、このあとの強化にその成否は懸かって来る。

[プロフィール]
玉田圭司(たまだ・けいじ)/1980年4月11日生まれ、千葉県出身。名門・習志野高校から99年に柏レイソルへ入団。プロ5年目で主力に定着し、2桁得点をマークした。2004年に日本代表へ初招集。名古屋グランパスへ移籍した06年にはドイツW杯へ出場し、第3戦ブラジル戦でゴールを決めた。10年南アフリカ大会でW杯2大会連続出場。国際Aマッチ通算72試合16得点を記録した。セレッソ大阪、V・ファーレン長崎にも所属し、Jリーグ通算511試合131得点した左利きのストライカー。21年に現役引退を引退した。(FOOTBALL ZONE編集部)