ダークホースのモロッコを最後まで崩せなかった

これが最後のワールドカップとなるのだろうか。37歳でFIFAワールドカップ・カタール大会を迎えたポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドは、ベスト8でモロッコ代表に敗れてカタールでの戦いを終えた。

何かと苦しい1年だった。所属するマンチェスター・ユナイテッドでもスタメンを外れる機会が増え、ついには契約解除することに。FIFAワールドカップに無所属で参戦することになったわけだが、代表でもベスト16のスイス戦でスタメン落ちを経験。アンタッチャブルな存在だったロナウドの立ち位置は大きく揺れ動くことになった。

しかもスイス戦では代わりにスタメン出場したFWゴンサロ・ラモスがハットトリックの大活躍。これだけの活躍を見せられると、代表監督フェルナンド・サントスも外しづらい。ベスト8のモロッコ戦でもロナウドをベンチスタートとし、ラモスをスタメン起用した。

ロナウドに出番が回ってきたのは、1点をリードされて迎えた51分だ。長かったアディショナルタイムを含めると約50分間ピッチに立ったが、何とこのゲームでロナウドがボールに触った回数は僅か11回だ(データは『WhoScored』より)。

投入直後は中盤にも顔を出しながら味方とワンツーを試みる機会もあったが、69分にラモスを下げてラファエル・レオンを入れたあたりから影が薄くなった。レオンが左サイドに開いたことや、サイドから単純なロングボールを放り込む機会が増え、ロナウドになかなかボールが渡らなかった。一度カウンターからダイレクトでシュートを放つ場面があったが、これもモロッコ守護神ヤシン・ブヌの正面だった。

大会を通してロナウドが本調子でなかったのは明らかだ。クラブでの出場機会減少がコンディションに影響したのか、それとも鉄人ロナウドにも年齢による衰えがきたのか。いずれにしても、ベスト8で戦いを終えることになったのは残念だ。モロッコの粘りが見事だったとはいえ、ロナウドは最後かもしれないワールドカップで頂点を狙っていたことだろう。

仮に今大会を最後とするなら、ロナウドはワールドカップの決勝トーナメントで1点も奪えないまま代表キャリアを終えることになる。EURO2016制覇は経験したものの、ワールドカップでの結果は個人成績を含めても納得できないものだろう。