【試合展望】アルゼンチンはメッシをゼロトップ気味に据えた4-3-3に戻すか

 カタール・ワールドカップ(W杯)は、いよいよ準決勝がスタートする。32チームでスタートした全64試合の大会も、残すは4チームで3位決定戦を含め4試合。現地時間13日の第1試合では、アルゼンチン代表とクロアチア代表が激突する。

■アルゼンチン(グループC・1位)×クロアチア(グループF・2位)
準決勝
キックオフ:現地時間12月13日22時(日本時間14日4時)
放送・配信:ABEMA
注目選手:エンソ・フェルナンデス(アルゼンチン)、ヨシュコ・グバルディオル(クロアチア)

 2回の優勝経験を持つアルゼンチンと、前回準優勝のクロアチアは過去にW杯で2回対戦。日本代表が初出場した1998年フランスW杯ではグループリーグで同組になり、互いに2連勝で突破を決めたあとにアルゼンチンが1-0で勝利している。しかし、3位にまで躍進したのは2位通過のクロアチアだった。また、前回大会でもグループリーグで対戦し、この時はクロアチアが3-0で完勝。2位通過になったアルゼンチンは優勝したフランスと16強で対戦することになり敗退した。一方のクロアチアは3回の延長戦を制して決勝までたどり着いている。

 アルゼンチンはオランダとの準々決勝で、相手の5バックに噛み合わせて自分たちもマッチアップ。相手の長所であるサイドを封殺したうえで、逆に両ワイドのDFナウエル・モリーナとMFマルコス・アクーニャがそれぞれゴールに絡んだ。最終的に長身選手投入からのパワープレーに手を焼いて2-2に追いつかれてPK戦の末の勝ち上がりになったが、リオネル・スカローニ監督の采配は光った。このゲームではこれが5大会目にして最後のW杯となる見込みのFWリオネル・メッシをゼロトップ気味に据えた4-3-3に戻すか。中盤の中央でゲームをコントロールするMFエンソ・フェルナンデスはここまで影のMVP級の活躍をしている。

 クロアチアは決勝トーナメント1回戦で日本、準々決勝ではブラジル代表を先制されてから追いつく展開でPK戦に持ち込んで勝利している。ただし、最初からPK戦を狙うような心づもりで試合をするわけではないはず。黄金の中盤と言われるMFルカ・モドリッチ、MFマテオ・コバチッチ、MFマルセル・ブロゾビッチを生かすために、相手のメッシがプレスに対して仕事を免除されているところを突いて前進したい。一方で、神出鬼没なスターを監視するのも重要な役目。今大会で評価がうなぎ登りのDFヨシュコ・グバルディオルがビルドアップでもディフェンスでも鍵を握りそうだ。

 クロアチアは前回のロシアW杯からPK戦は4連勝で無敗。一方でW杯のPK戦を5勝1敗のアルゼンチンは無敗ではないものの単独最多勝。ここまでクロアチアのGKドミニク・リバコビッチがPK戦で4本セーブし、前回大会のGKダニエル・スバシッチ、1990年イタリアW杯でアルゼンチンを決勝進出に導いたGKセルヒオ・ゴイコチェアと並びW杯の最多タイ記録になっている。一方で、アルゼンチンのGKエミリアーノ・マルティネスもオランダ戦で2本ストップとPKに強さを見せた。この両者の対戦がPK戦になれば、ある意味では「世界のPK戦王者」を決めることになるかもしれない。(FOOTBALL ZONE編集部)