FIFAワールドカップカタール(W杯)にて、サッカー日本代表はドイツ、スペインといった強豪を撃破したものの、ベスト4に駒を進めたクロアチアにPK戦の末に敗れ、史上初のベスト8進出を達成できなかった。
次回、2026年W杯北中米大会(カナダ・メキシコ・アメリカの3カ国共催)でのベスト8進出は悲願であり、日本代表全体のレベルアップのためには現在以上の競争が必要だ。そのなかに割って入ることが期待される、現在Jリーグでプレーする選手をピックアップした。
谷晃生(湘南ベルマーレ)
190cmの長身とシュートストップ能力の高さを誇る、世界基準のGK谷晃生。ガンバ大阪の下部組織で経験を積み、2017年には16歳3か月18日という若さでガンバ大阪U-23の一員として、J3リーグに出場。この年を含めた3年間、J3で33試合に出場した。
その後年代別日本代表を経験した谷は、2021年に開催された東京オリンピックでは正GKの座を掴み、全6試合にフル出場して好セーブを連発。さらに2020年から湘南ベルマーレへ期限付き移籍すると、2021年には34試合、2022年は31試合に出場し、22歳にしてJ1で90試合もの出場経験を持つ。
今年7月には国内組で構成されたEAFF E-1サッカー選手権2022でフル代表デビューも飾るなど、実績は同世代のGKで間違いなくトップであり、4年後の守護神の筆頭候補だろう。
鈴木彩艶(浦和レッズ)
谷晃生と同様に年代別日本代表の常連で、190cm、93kgの恵まれた体格をいかしてゴールを死守するGK鈴木彩艶。所属する浦和レッズでは、元日本代表GK西川周作という最高のお手本からポジションを奪えずに出場機会は限られているが、2021年は6試合、2022年は2試合に出場した。
また、2021年のルヴァン杯ではニューヒーロー賞を受賞。リーグ戦でも出場した試合は4勝3分1敗と勝率が高く、2022シーズンJ1第29節の柏レイソル戦(9月10日)では立て続けに枠内シュートをストップしており、能力の高さをうかがわせた。
山原怜音(清水エスパルス)
DF山原怜音は、サッカー選手のエリート教育機関・養成システムであるJFAアカデミー福島が生み出した傑作。2022年筑波大学から清水エスパルスに加わったルーキーで、1年目ながら強烈なインパクトを残した。チームは低迷し、シーズン途中の監督交代を敢行するも最終的にJ2降格。それでも山原は出場を続け、チーム4位の出場時間2616分を記録するとともに、2得点8アシストの数字を残している。
推進力に優れ、縦に仕掛けても中に切り込んでも精度の高いボールを供給できる山原。身長164cmと高さはないが、2022J1第22節の浦和レッズ戦(7月16日)では直接フリーキックを決めるなど、J1のサイドバックでもっともキックの精度が優れる選手だといえるだろう。2023シーズンどこでプレーするか流動的だが、より高いレベルでプレーすれば日本代表が見えてくる。
藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス)
4年後のW杯にて、日の丸を胸に中盤を担う可能性の高いMF藤田譲瑠チマ。数々の技術に優れたJリーガーを輩出している東京ヴェルディの下部組織で育つと、2019年に2種登録選手としてトップチームデビュー。翌2020年にはプロ契約を結ぶと、すぐさま定位置を確保し41試合に出場した。
2021年には当時J1にいた徳島ヴォルティスに移籍し28試合に、2022年は横浜F・マリノスに移籍して29試合に出場した藤田。リーグ優勝を果たしたチームにおいても、確かな存在感を示した。1つ1つのプレーが安定しており、強度の高い守備に加えパスセンスも持ち合わせているため、近い将来世界で活躍するプレーヤーになる可能性は十分だ。
松木玖生(FC東京)
近年の高校サッカー界でもっとも実績を残している青森山田高校において、さらに頭一つ抜けた選手としてFC東京入りを決めたMF松木玖生。高卒ルーキーながら2022シーズン開幕スタメンに抜擢されると、その後も出場を重ねて出場時間はチーム4番目となる2433分を記録した。U-15から日の丸を背負い、今年3月には飛び級でU-21日本代表に招集されるなど、2024年のパリ五輪での活躍も期待される。
まだプレーが洗練されているとはいえないが、伸びるための材料である負けん気の強さは折り紙つきの松木。11月26日にはFC東京との契約更新が発表され「さらにレベルアップし、2022シーズンの自分を超えられるように頑張ります」とコメント。2023シーズンは出場時間、2得点3アシストという数字をともに超える活躍を期待したい。
小川航基(横浜FC)
年代別日本代表の常連だったもののJ1での実績は皆無に等しく、2022シーズン前まではJ2での2020シーズン9得点がキャリア最多だったFW小川航基。2021年はJ2でも1得点。数年苦しんでいた大型ストライカーが、2022シーズンついに覚醒を遂げた。
J2の横浜FCに完全移籍で加入した小川は、3-4-2-1のシステムを使用するチームにおいて、1トップかシャドーの位置で起用されると得点を量産。41試合出場(うちスタメン40試合)で、驚異の26得点4アシスト。決定率は20%を超え、得点ランキング2位で16得点のチアゴ・アウベス(ファジアーノ岡山)に大差をつけてJ2得点王に輝いている。
FWに大切な動き出し、シュートテクニック、テクニック、自信を併せ持ち、日本代表の世界レベルのFW不足を解決させてくれるかもしれない。カタールW杯日本代表がクロアチアに敗れたあとには自身のSNSで「4年後に点を取るのは俺」と書き込んでおり、有言実行なるか。