FIFAワールドカップもいよいよ佳境を迎えている。この日はアルゼンチンが準決勝でクロアチアを3-0で撃破して、決勝進出を決めた。
この日、マンオブザマッチに選ばれたのは、リオネル・メッシだったが、彼は22歳のFWフリアン・アルバレスを絶賛。
「フリアンが誰よりも突出していた。並外れた試合をしたよ。僕らのために道を切り開き、闘い、走り、どの相手ともぶつかり合った。今大会を通じて、ものすごい重要な存在だと思う」と讃えていた。
そのアルバレスはこの夏にマンチェスター・シティに正式加入した170cmと小柄なアタッカーだ。
今大会では3試合目から先発に起用されると、オランダ戦以降はメッシと2トップを形成。走らないメッシの分をカバーするように労を惜しまずに走り続け、攻撃を活性化させてきた。
彼はどんな選手なのか。アルゼンチンの『Radio Continental』はシティ加入時にこう伝えていた。
「フリアン・アルバレスのポジションはどんなサッカーアナリストにとっても読み解くのが難しい謎だ。
だが、より重要なのは、対戦相手にとって捕まえるのが非常に難しいということ。
彼はセンターフォワードではないし、ウィンガーでもない。MFでもないし、典型的なプレーメイカーの特徴も持っていない。
だが、彼はそれら全てのポジションに顔を出して、相手にダメージを与える技術を持っている。
(ドイツ代表トーマス・ミュラーと似ており、)技術的に完成されており、戦術的観点から、ピッチ上で最も効果的、最も占有率の低いスペースを攻撃して、ダメージを与える。
ただ単に空いているスペースに入り込めばいいというものではなく、あらゆるスペースをハントする。
「当時18歳だったアルバレスは攻撃陣に離脱者が相次いだリーベルで台頭。当初は9番の代役だったが、U-20代表ではCFではなくウィングストライカーやMFでも起用された。
右サイドやトップ下など様々なポジションで起用されたが、常に相手にとって危険な空いたスペースにいる。
そのポジショニングならば、長いボールタッチは必要ない。ダイレクトにプレーする傾向があり、数回のボールタッチや決定的なドリブルで脅威を生み出す。
意味なく動くことはほぼなく、決定的ではない場面にかかわることもある。
技術力と体の操縦性があるため、マーカーの攻撃にそれほど苦しむことなく、170cmの体躯を生かすことができる」
本人は「中央とウィングでプレーできる」と話しているが、実際、今大会でも当初はウィング起用だったが、その後、2トップの一角に固定された。
『Transfermarkt』で、これまでの起用ポジションを見てもこうなる。
前線ならどこでもプレーできるのが彼の強み。
シティを率いるジョゼップ・グアルディオラ監督もこう評価している。
「彼のことはテレビなどで見て少しは知っていた。だが、実際の実力に驚かされた。
とても謙虚で、常にポジティブ、どの練習でも全力を尽くす。そういうタイプの選手は好きだね。
常にボールの近くにいて、適切なタイミングでポジションに入るセンスがある。下がってもプレーできるクオリティがある。
フリアンは並外れた選手だ。あのスピードとゴールセンス、仕事に対する姿勢には誰もが感心している」
決勝でも間違いなくキーマンになるはずだ。
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なお、代表での背番号は9だが、シティでは19番を背負っている。なんでも、19は祖母の誕生日でもあり、気に入っているそう。