モロッコの躍進はアフリカ勢に勇気を与えた
FIFAワールドカップ・カタール大会で目立ったのは、堅い守備からの速攻だ。これはベスト16入りを果たした日本代表もそうだったが、5人まで増加した交代枠を効果的に使ってハイエネルギーなフットボールを展開したチームが結果を出していた。
ベスト4入りのサプライズを果たしたモロッコ代表は、そのトレンドを代表するチームだったと言える。ロマン・サイス、ナイフ・アゲルドを中心とした堅い守備、ハキム・ツィエク、ソフィアン・ブファルのテクニック、超高速サイドバックであるアクラフ・ハキミのスピードなど、この大会で上位へ入るにふさわしいチーム構成だった。
その中でも尽きることのない運動量、中盤でのリーダーシップが評価されたのがフィオレンティーナ所属MFソフィアン・アムラバトだ。
今後の移籍市場でも人気の出そうな選手だが、英『TalkSport』にて解説を務めたナイジェル・アダーリー氏は「彼は今大会最高の選手だったと思う」と絶賛。派手なプレイは多くないかもしれないが、その存在感から大会MVPでもおかしくないとの評価を与えている。
準決勝のフランス戦は0-2で落としてしまったが、同じく解説を務めたスチュアート・ピアース氏も「彼のエネルギー、リーダーシップ、意欲はこのゲームでも際立っていた」と評価。短期決戦の中で確実に疲労は溜まっていたはずだが、アムラバトは最後まで走り続けていた。
このトレンドが4年後も継続するならば、モロッコの躍進は同じアフリカ勢に勇気を与えるものとなったはずだ。組織的に連動した守備と、それを継続する運動量があれば強豪相手にも番狂わせを起こせることをモロッコが証明してくれたのだ。
アムラバトのようなMFは今後も人気となる可能性が高く、120分でも走り切る運動量は現代サッカーのマストとなっていくだろう。アムラバトが大会MVPとの評価にも納得するサッカーファンは多いはずだ。