僕にはサッカーが大好きなフランス人の友人がいる。ワールドカップ取材でカタールに来てからもチャットで話をしており、とりわけフランス代表の試合の時はよくメッセージがくる。
 
 12月14日の準決勝、フランス代表はモロッコ代表を2-0で撃破。2大会連続のファイナル進出を決めた。39歳の友人は「俺が生まれてから4回目のワールドカップ決勝だ」と誇らしげだった。1998年、2006年、2018年、そして2022年。今回を含めて直近7大会で4回の決勝進出は、世界最高の好成績だ。
 
 僕が「おめでとう。フランスには推しの選手がいるから応援しているよ。でも、やっぱりメッシにワールドカップを掲げてほしい気持ちもある。複雑な気持ちだ」と返すと、友人からは意外な返事が返ってきた。
 
「分かるよ。俺はフランス人だから、もちろんレ・ブルーを心の底から応援している。でも、いちサッカーファンとしてはメッシがワールドカップを掲げる姿も見たいって気持ちもあるんだ。彼は最後のチャンスだしね」
 

 リオネル・メッシというプレーヤーの偉大さを改めて思い知った。年齢も、性別も、そして国籍も超越してサッカーファンの心を掴んでいるのだ。
 
 クラブレベルでも代表レベルでもあらゆるタイトルを獲得してきたメッシに欠けている唯一のトロフィーが、過去4回は優勝に手が届かなかったワールドカップだ。そんな中で今大会のメッシはスーパープレーを随所で見せながらここまで5ゴール・3アシストと好調で、準決勝後には「これが最後のワールドカップ」と明言してもいる。そんな背景も友人の気持ちを揺さぶっているのだろう。
 
 もちろん、フランス人でアルゼンチン優勝を期待しているのはほんの一握りだろう。友人も「草サッカー仲間はみんな俺と同じことを言っていたよ。でも、ライトなフランス人はさすがにそうは思っていない。ガチのメッシ・ファン、ガチのサッカーファンだけさ」と言っていた。しかし、メッシがここまでサッカーファンに愛される存在でなければ、その一部すらいなかったに違いない。
 
 世界中が注目するワールドカップ決勝は現地時間12月18日。ちなみに、僕の友人はちょっとズルいとも思う。フランスが勝っても、アルゼンチンが勝っても、いずれにしても彼は勝利の美酒を味わえるのだから。
 
取材・文●白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)

【W杯PHOTO】まさにスタジアムの華! 現地入りしたワールドクラスたちの妻、恋人、パートナーら“WAGs”を一挙紹介!