いよいよカタールワールドカップは最後の試合を迎える。現地18日に開催される決勝では、アルゼンチン代表とフランス代表が対戦する。
試合に先立って17日には公式記者会見が行われ、アルゼンチン代表からはGKエミリアーノ・マルティネスとリオネル・スカローニ監督が出席。マルティネスは「ここまでの道のりがどれほど困難であったかを考えずにはいられない」と、自身初のワールドカップ決勝に至るまでの過程に思いを馳せた。
今大会期間中、1枚の画像がSNS上などを賑わせた。それはマルティネスが兄と共に4年前のロシアワールドカップをスタンドから観戦した時の写真と、現在の写真を比較したものだった。
カタールの地で正守護神としてアルゼンチン代表のゴールを守っているマルティネスだが、ロシア大会当時はメンバー候補に名前が挙がるような選手ではなかった。アーセナルで居場所を得られず、ヘタフェへの期限付き移籍もほとんど公式戦に出られないまま終えたばかりの時期だ。
18歳でアルゼンチンを出て、イングランドへ渡ってからの約10年間で6つのクラブへ期限付き移籍したが、所属元のアーセナルではほとんどチャンスを与えられないままだった。転機となったのは2020年9月のアストン・ヴィラ移籍だ。
プレミアリーグの古豪でレギュラーポジションをつかんだマルティネスは2021年6月にアルゼンチン代表デビューを飾る。初招集から足掛け10年でA代表にたどり着くと、すぐに定位置を確保して翌月にはコパ・アメリカ制覇を経験。カタールワールドカップの南米予選突破にも大きく貢献した。
「アルゼンチンでは、僕が代表のGKにふさわしい選手、みんなが望んでいたような選手だということが知られていなかった」
そう語るマルティネスは4年前、ロシアの地でアルゼンチン代表が決勝トーナメント1回戦でフランス代表に屈してワールドカップからの敗退が決まった時「兄に『次はそこにいる』と言った」。
宣言通り、カタールワールドカップにアルゼンチン代表の正守護神として出場することができた。そして、決勝は4年前にロシアで愛する母国の代表チームを大会から追いやったフランス代表が相手になる。マルティネスにとって、自らの価値を証明する最高の機会だ。
「僕は普通の男だ。物事がうまくいっていても、幸せに浸ってしまうようなことはない。調子が悪くても落ち込むことはない。アルゼンチン代表でプレーする時は、連帯を示し、チームに貢献したい。僕はブエノスアイレスの貧しい地域、マル・デル・プラタ出身だから、ファンのみんなとも常に一体感を覚えている」
カタールワールドカップ決勝のスタジアムは、ほとんどアルゼンチン代表のファンで埋まるだろう。圧倒的なホームの雰囲気を作ってくれる“戦友”たちとともに、マルティネスは世界の頂点を極めることができるだろうか。
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【全試合日程・結果・放送予定】サッカーFIFAワールドカップカタール2022
【決勝トーナメント表】FIFAワールドカップカタール2022<組合せ>