FIFA ワールドカップ カタール 2022は、アルゼンチン代表が36年ぶり3度目の世界一に輝き、幕を閉じた。これまでに数々の個人タイトルやクラブタイトルを手にしてきたメッシが、最後のワールドカップでついに悲願を達成。7ゴール3アシストという圧倒的なパフォーマンスで大会MVPも受賞するなど、まさにメッシのための大会となった。

【映像】悲願の初優勝にMVP獲得!メッシの全ゴール&アシスト

レジェンド・バティストゥータを抜く偉業達成

 メッシのカタールワールドカップでの初ゴールは、PKからだった。グループステージの第1節・サウジアラビア代表戦で相手GKの逆を突く“コロコロPK”を決めるなど、独特なプレッシャーがかかる初戦でも動じないメンタルの強さを見せた。

 グループステージ第2節・メキシコ代表戦では、64分にメッシらしい左足のコンパクトな振りからグラウンダーのボールがゴール右隅を捉えて先制点をマーク。さらに87分にはエンソ・フェルナンデスのゴールをお膳立てするなど1ゴール1アシストで今大会の初勝利に貢献した。

 決勝トーナメント以降、メッシのギアはさらに上がっていく。ラウンド16のオーストラリア戦では、再び得意の左足から先制点を奪取。さらに準々決勝のオランダ代表戦では、あとは決めるだけという“プレゼントパス”でモリーナのゴールをアシスト。73分に獲得したPKでは、コロコロではなく、強烈なシュートを決めて再び1ゴール1アシストの活躍を見せた。

 文字通りメッシを中心に勝ち上がってきたアルゼンチン代表。準決勝のクロアチア代表戦でも、PKを獲得するとメッシがキッカーを務めた。ゴール前に立つのは、ラウンド16で日本代表も苦しめられた名手・リバコビッチ。シュートコースは読まれていたが、正確かつ強い威力のシュートでネットを揺らした。

 このゴールで、ワールドカップ通算11得点としたメッシは、レジェンドであるガブリエル・バティストゥータ氏の10得点を抜いて、アルゼンチン代表におけるワールドカップ最多得点記録保持者となった。

 そしてこの試合、メッシは“真骨頂”を発揮する。右サイドでドリブルを仕掛けたメッシは、今大会で株を上げているグバルディオルを翻弄。鋭い切り返しの連続から突破すると、アルバレスのゴールをアシストした。

決勝でも圧巻のパフォーマンス。7ゴール3アシストで大会MVPに

 悲願のワールドカップ初制覇まで、残すはあと1勝。フランス代表との決勝でもメッシはPKのチャンスを得ると、フランス代表GKロリスの逆を突くグラウンダーのシュートを決めた。さらに延長戦の108分、カウンターの場面ではゴール前まで走り、シュートのこぼれ球を押し込んだ。

 得点王こそこの試合でハットトリックを達成したエムバペに譲ったが、7ゴール3アシストと圧巻のパフォーマンス。アルゼンチン代表が挙げた15得点のうち、実に10得点がメッシによってもたらされた事実を考えると、大会MVPも納得だろう。

 “英雄”ディエゴ・マラドーナがアルゼンチン代表を世界一に導いた1986年のメキシコ大会から36年──。「最後のワールドカップ」と公言していたメッシは、ついにワールドカップを制覇した。永遠に錆びることのない黄金の左足でサッカー界に新たな歴史を残した。
(ABEMA/FIFA ワールドカップ カタール 2022)