カタール・ワールドカップ(W杯)で連覇を逃しながらも、準優勝に輝いたフランス代表。グループステージのチュニジア戦以外に勝利し、最後にリオネル・メッシを擁するアルゼンチン代表と対戦した。

 だが、満を持して臨んだ決勝で、フランスは前半だけで2失点。シュートも1本も打てず、劣勢に追い込まれた。ディディエ・デシャン監督はたまらず前半終了間際に2枚替えという手を打ったが、チームの雰囲気はどんよりとしていたようだ。

 その空気を一変させたのが、キリアン・エムバペだ。前回大会で優勝も経験している23歳のストライカーは、不甲斐ないプレーを見せる仲間たちを“叱咤激励”したという。英紙『The Athletic』が報じている。
 
「バカみたいに彼らの好きなようにプレーさせるか、フィールドに戻って状況を変えようとするかだ! ワールドカップだ。みんな、4年に一度なんだぞ!

  何が起ころうとも、(前半の)内容より悪いことはできないし、ならないだろう。デュエルにインテンシティを持たせ、できる限りのことをする。これはワールドカップの決勝なんだ。2失点は終わった話だ。2点取られて、2点差になった。でも、僕らは取り返せる!4年に一度のことなんだ!」

 静かに、かつ激しい口調のエムバペは、言いながらソックスを床に投げつけたという。同紙は「このスピーチを聞いたラファエル・ヴァランヌは改めて決意を固めたように見えた」と綴り、そしてエムバペは「僕らは取り返せる」という言葉を、自らのゴールで証明した。

 PK2発を含むハットトリックを達成して試合を振り出しに戻し、PK戦に持ち込み、1人目のキッカーを務め、決めてみせた。また、フランスのテレビ局『TF1』は「まるで彼がボス(監督)のようだ」と、指揮官よりも先に口火を切ったストライカーを称賛している。

 ちなみに、母国に戻ったエムバペは21日に所属クラブであるパリ・サンジェルマンのトレーニングに復帰。28日に控えているリーグ・アンの再開試合に出場する可能性は、ゼロではないようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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