判定検証番組「W杯ジャッジリプレイ」でアルゼンチンのPKシーンを取り上げる

 スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「ワールドカップ(W杯)ジャッジリプレイ」で、カタール・ワールドカップ(W杯)の準決勝、アルゼンチン代表とクロアチア代表のPKシーンが取り上げられた。

 この場面は前半32分、アルゼンチンのMFエンソ・フェルナンデスが出した背後へのパスにFWフリアン・アルバレスが抜け出し、相手GKドミニク・リバコビッチと入れ替わるようにボールを浮かせたところで接触。ダニエレ・オルサート主審はその後のボールの行方を見極めたうえで、PKの判定を下していた。この場面は、世界的にも判定への意見が分かれていた。

 ゲスト出演した元日本代表FW佐藤寿人氏は「PKだと思う。フィニッシュしたかどうかはアルバレスしか分からない。実際問題、リバコビッチの侵入を外して接触がなければ、そのまま(ボールに追いついて)行けるというアルバレスの主張もあると思う。リバコビッチも前に出ていって、止まれなかった。止まれなかったのは印象が悪いと思う。攻撃側と守備側で意見が分かれると思うけれども、僕は攻撃側の意見として」と話した。

 一方でゲスト出演した元日本代表MF遠藤保仁は「僕は寿人さんと逆」として「GKが最初に出ようとして躊躇して、最後にアタックのようになったけれども、GKが出たのは1メートルか2メートル。そこにアルゼンチンの選手がこの勢いで飛び込んできて、避けろと言うのは無理。GKは止めるために手も広げるし、相手の邪魔をするなというのは。勢いよく当たっているのでファウルのように見えるけれども、ノーファウル、PKではないと思った」と話した。

 また、佐藤氏は「アルバレスが右にボールを出して左に行っている。右にボールを出して右に行っていたら、完全にファウルという判断になると思う」とも指摘した。

 元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏は「サポーター家本からすると、アタッカーはシュートを打ち損ねて、そのままボールを見ている。プレーを続けようという意思は感じられない。十分に受け入れられるフットボールコンタクトとしてノーファウルにしてほしいところもある。ただし、テクニカル上ではGKがアクションを起こしていて、アルゼンチンの選手がボールを蹴ったあとに、アルゼンチンの選手の方向に足が出ていく。それは進路を妨げたと言える。反則と十分に言える。致し方がない」と、心情的なものとは別にして、主審の判定を支持した。

 この場面はイングランドなど直接の対戦国でない場所でも、元選手や審判員が多くの意見を表明して議論になっていた。元日本代表選手の両者でも意見が分かれる、微妙なシーンだった。(FOOTBALL ZONE編集部)