サッカーを忘れる時間が必要と冨安は語った
異例だった今年のFIFAワールドカップ・カタール大会。通常のW杯はシーズン終了後に開催されるが、今回はシーズン真っ只中の11月から12月にかけて行われた。すでに大会は終了しており、12月26日からイングランドではプレミアリーグが再開する。
この再開を待ち遠しいと感じていた選手は多い。W杯に参加できるのは、32カ国のみであり、出場できなかった選手はこの1カ月近くの間、公式戦から離れていた。マンチェスター・シティのアーリング・ハーランドやリヴァプールのモハメド・サラーがそうだ。リーグタイトルやビッグイヤー獲得に向けて燃えているだろう。
しかし、出場した選手はどうなのか。優勝したアルゼンチン代表以外の選手はこの短い期間で、クラブでの戦いに気持ちを切り替えることはできるのだろうか。
英『The Athletic』では大会終了後に選手たちがモチベーションを維持できるのか危惧している。
同メディアによると、1990年以降、W杯の決勝戦からプレミアリーグの次の試合まで平均して37日あったという。しかし今回はわずか8日しかない。しかもその間にカラバオカップが開催されており、W杯に出場した選手は休む暇がない。イングランド代表とトッテナムで活躍するハリー・ケインは2021年の7月から現在にかけて91試合に出場している。オランダ代表とリヴァプールのユニフォームを着るフィルジル・ファン・ダイクはさらに多い95試合をこなしている様子。身体的な疲れもそうだが、試合ごとにかかるプレッシャーを考えれば、精神面での疲労も考慮しなければならない。
クラブ名と名前は明かされていないが、W杯に出場したプレミアリーガーが、コーチにクラブへの復帰を遅らせることはできるか尋ねたという。このようにW杯の負担は想像以上に大きい。
日本代表の冨安健洋はクロアチア戦後、「サッカーを忘れる時間が必要だ」と語っている。すでにチームには合流しているようだが、モチベーションを維持することはできているのだろうか。
ただ今回のW杯に出場して新たなモチベーションを得た選手もいる。ポーランド代表のマティ・キャッシュはラウンド16でフランスに敗れて休暇を与えられたが、休暇先のドバイではコーチとトレーニングを行ったという。初めての国際舞台での経験をアストン・ヴィラに還元しようとしている。
監督は選手を戦術的にコントロールすることはできても、メンタル面でコントロールすることはそう簡単ではない。プレミアリーグはどのリーグよりも多くの選手をカタールに派遣しており、メンタル面での影響が大きく表れやすい。それはビッグクラブになればなるほどであり、決勝トーナメントに6選手しか送り込んでいないリヴァプールは後半戦で有利になるかもしれない。
22-23シーズンの後半戦は例年とは違ったシーズンになる。リーグ戦では多くの選手をW杯に送り込んだチームが崩れる可能性があり、リーグ戦の再開が1月の下旬と時間のあるブンデスリーガ勢はCLで好成績を残すかもしれない。