カタール・ワールドカップ(W杯)の決勝をめぐる問題で、フランス側がやり直しを要求しているなか、主審を務めたシモン・マルチニアク氏が見解を述べた。

【写真】マルチニアク主審は、フランス紙の主張に証拠を見せて反論

18日に行われたカタールW杯決勝のアルゼンチン代表vsフランス代表。試合は90分を終えて2-2、延長戦でも互いにゴールを決め合い3-3でPK戦へ。そのPK戦を制したアルゼンチンが、36年ぶり3度目の優勝を果たした。

世界最高峰の選手の1人とされるアルゼンチン代表FWリオネル・メッシが悲願のW杯優勝を成し遂げたことが話題となり、敗れたフランスも60年ぶり3カ国目の連覇を逃したものの、FWキリアン・ムバッペはハットトリックの活躍を見せていた。

そんな中、フランス側がとんでもない要求をすることに。フランス『レキップ』によれば、延長後半にメッシが決めたゴールに関して、ゴールが決まる前にアルゼンチンのベンチの選手がピッチに侵入していたため、無効だと主張したのだ。

証拠もあるとされ、20万人を超えるフランスのファンが主審の判定の間違いだったとし、決勝戦の再試合を求める嘆願書にサインしたとされている。

しかし、マルチニアク主審はこの批判に反論。記者会見を行い、自身の見解を述べた。

「フランス人は、ムバッペがゴールを決めた時にピッチに7人のフランス代表の選手がいる様子がわかるこの写真については言及していない」

サッカー規則の第3条第9項にはこう書かれている。

「もし、ゴールが決まった後、プレーが再開される前に、ゴールが決まった時にピッチ上に余分な選手がいることをレフェリーが知った場合、レフェリーは、その余分な人がゴールを決めたチームの選手、交代した選手、退場した選手、またはスタッフだった場合には、ゴールを無効としなければならず、プレーはその場所から直接FKで再開されなければならない」

確かに、規則上はそう書かれており、『レキップ』の主張は正しい。ただ、マルチニアク主審によれば、フランスも同じことをしているとのこと。したがって、メッシのゴールが取り消されるならば、ムバッペのゴールも取り消されることになり、結果としておあいこだということになる。

今回のW杯では、日本代表の試合でも見られたが、劇的なゴールや展開が多く、この規則を厳密に守った場合は、多くのゴールが取り消されることとなる。

選手たちももちろん理解はしているが、目の前で起きた劇的な展開につい入ってしまうことはゼロではない。もちろん、主審や副審なども把握はしているが、そこで取り消されるところは見たことがない。

暗黙の了解となっている規則を引っ張り出して、なんとかW杯での連覇を逃したことを無かったことにしたそうだが、墓穴を掘る結果になるとは予想していなかったのではないだろうか。

【動画】フランス側が無効だと主張したメッシのゴール