今年も残すところあと4日となった。本稿では、2022年のサッカー界における名場面を『サッカーダイジェストWeb』のヒット記事で振り返る。今回は、W杯優勝の夢が潰えて落胆しているなかでも、器の大きさを見せたセレソン10番の記事を再掲する。

記事初掲載:2022年12月10日

―――◆――◆―――

 現地時間12月9日、カタール・ワールドカップ(W杯)の準々決勝でクロアチア代表とブラジル代表が対戦。PK戦の末にクロアチアが勝利を収め、ブラジルは敗退が決まった。

 スコアレスのまま突入した延長戦で、神様ペレに並ぶ代表通算最多77得点目となる先制ゴールを決めていたネイマールは、決着がついた後に天を仰ぎ、涙をこらえることができなかった。W杯初戦のセルビア戦で足首を負傷し、グループステージ2試合を欠場しながらも復活にこぎつけ、チームに戻ってきたエースの、深い悲しみが窺えるワンシーンだった。

 そんなネイマールが、試合後に見せた行動が反響を呼んでいる。英紙『The Mirror』は「彼はホイッスルが鳴った後、興味深い“トラブル”に巻き込まれた」と伝えている。
【画像】ネイマールが嗚咽…。衝撃の敗退に、顔をくしゃくしゃにして大粒の涙をこぼす
「PK戦の末に敗れたネイマールは、悲しみに暮れていた。ヨーロッパのチームが勝利に酔いしれるなか、仲間に支えられるようにして立つのがやっとだった。そんななか、クロアチア代表のファミリーは、ピッチに入ることを許されていた。

 イバン・ペリシッチの息子、レオはその輪から外れて、パリ・サンジェルマンのスーパースターのもとに走り寄って行った。警備員はすぐさま、ブラジル代表選手に近づこうとする、その存在に対して防御の態勢に入った」

 しかし、ネイマールは自らレオ君に歩み寄り、「ペリシッチ・ジュニアに話しかけ、伸ばされた手に応じ、最後はハグで別れた」という。

 このワンシーンが米スポーツチャンネル『espn fc』でシェアされると、ファンからは「素晴らしい試合だった。両チームに称賛を」「ハートが溶けそうなほどうっとりする」「美しいフットボール」「ネイマールは、敗者として最高の対応をした」「僕はこれだから彼を嫌いになれないんだ」「僕はクロアチアサポだけど、4年後のW杯でもネイマールにプレーしてほしいと、今日の試合を見て思った」といった声が寄せられた。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部