ある意味で、カタール・ワールドカップの“熱狂”はいまだ覚めやらない。優勝したアルゼンチン代表GK、エミリアーノ・マルティネスの奇行が物議を醸し、そこかしこで舌戦が続いているのだ。

 フランスとの決勝戦後に行なわれた表彰式で、大会ベストGKに与えられるゴールデングローブ賞を受賞したマルティネスは、何を思ったか、手を形どったトロフィーを股間に当てる下品なパフォーマンスを披露。さらにアルゼンチン帰国後の優勝パレードでは、南米サッカーを軽視する発言をしたフランス代表FWキリアン・エムバペを小馬鹿にすべく、その顔写真を貼りつけた赤ちゃん人形を持参した。

 挑発的な振る舞いに対して、フランスだけでなく欧州サッカー界の選手やメディアから猛バッシングを受けると、アルゼンチン側は守護神を徹底擁護。絶え間ない言い争いが繰り広げられているのだ。

 そんななか、元フランス代表DFであるアディル・ラミも辛辣に批判。自身のインスタグラム・ストーリーでマルティネスを「サッカー界最悪のクソ野郎」「最も嫌われている男」と評し、「ゴールデングローブは彼のものだ」として、モロッコ代表GKボヌの画像を添えた。

 代表のチームメイトをコケにされて黙っていなかったのが、34歳のMFアンヘル・ディ・マリアだ。こちらもSNSで「エル・ディブ(マルティネスの愛称)が世界一のGKだよ。泣くならどこか他に行ってくれないか」とお返し。するとラミもすぐさま呼応し、ディ・マリアが過去に涙を流した画像集を貼りつけて、「じゃあ(泣き方を)教えてくれよ。負けた時、勝った時、クラブを去る時、そしてこのツイートを見た時の泣き方をね」とやり込めた。
 
 ここに猛然と割り込んできた女性がいる。ほかでもない、ディ・マリアの妻であるジョルジェリーナ・カルドーソさんだった。「アンヘルはあなたに泣き方だけじゃなく、女性を紳士的にどう扱えばいいか、決勝戦でのゴールの奪い方も教えてくれるわ。ハッピー・ニューイヤー、天才さん」と言い放ったのである。

 ラミは3年前、当時パートナーだった女優のパメラ・アンダーソンさんからDV被害を告発されて大きな話題を集めた。その騒動を引き合いに出して、皮肉を込めたのだ。なんとも強烈なパンチである。

 思わぬ展開を見せる場外戦に、欧米メディアも反応した。英紙『Mirror』は「ジョルジェリーナが火に油を注いだ。ラミは痛いところを突かれた」と伝え、アルゼンチン全国紙『Ole!』は「毅然とした態度で、堂々たる正論だ」と称えている。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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