タトゥーを彫るのは、果たして医療行為と言えるのだろうか。今、この問題が日本のタトゥー業界全体を揺るがしている。
 現在はデザインの仕事で生計を立てている増田太輝さんがタトゥーアーティストの仕事を失ったのは、2年前のことだった。
 「警察に『タトゥーを彫るのに医師免許を持っている?医師免許が必要って知っていた?あなた医師法違反ですよ、医師の免許ないのに刺青を彫って』と言われた」。
 2015年8月に「医師法違反」で罰金30万円の略式命令を受けたが、増田さんはこれを拒否。無罪を主張し、「自分はこれに人生をかけてきた。そういった志を持ってやってきた。これまでの歴史や伝統的な文化がある。それは、彫り師だからこそできること」と、裁判で闘うことを決意。彫り師を巡る初の正式裁判として注目を集めた。しかし今年9月27日に大阪地裁で開かれた判決公判の結果は敗訴。「保健衛生上の危害が出る恐れがあり、医療行為に当たる」として、増田さんに罰金15万円が言い渡された。会見で増田さんは「彫り師という仕事、自分の人生を取り返すために、これからも控訴審で戦っていく」と、改めて決意を示した。