◆既存ユーザーへのプロモーションだけではユーザーの裾野が広がらない――マルハン北日本カンパニーが考えるパチンコ業界の課題

――はじめに今、パチンコ業界を取り巻く環境や課題として感じているものをお聞かせください。

遊佐氏:業界自体は成長期から成熟期に入り、シュリンクしている事実があります。一時期、2000万人以上いた遊技人口が今は700万人を切っています。リーマンショックやコロナウイルスの蔓延・度重なる業界規制などの影響があり、我々の産業も売り上げが減りました。また今はオンラインでいろいろなものが楽しめる時代で、産業としては売り上げも遊技人口も減っている状況です。

――そんな中でもマルハンは売り上げを堅調に戻し、店舗数や設置台数も伸ばしています。

遊佐氏:おっしゃる通り店舗数や設置台数は増え、売り上げも伸びています。短期的にも長期的にもユーザーの皆様に一定の支持を頂けている結果だと思います。ただ客観的に見ると、産業全体の遊技人口が伸びていないことに、一番の課題と危機感を感じています。

――従来のプロモーションで実施してきたことやそこで感じていた課題はありますでしょうか?

遊佐氏:既存ユーザーに向けてのプロモーションは、過去も現在も様々おこなっております。ただし、過去・現在行っているプロモーションだけを続けたところで、スリープユーザーを起こすところまではできたとしても、ノンユーザーを増やすのは、なかなかハードルが高い。今までのプロモーションがノンユーザーに届くのであれば、参加人口は増えていますよね。以前から、遊んだことがないノンユーザーに対してのアプローチは全く別物だと考えていたので、特にこの1年は切り口を変えながら取り組んでいるところです。今まで行ってきた施策は、私の中ではノンユーザー向けになっていなかった。どちらかというと既存ユーザーに向けての広告販促、セールスプロモーションが多かったのではないでしょうか。既存のプロモーションでは、ノンユーザーにパチンコ・スロットの楽しさを伝えられない。

 マルハン北日本カンパニーでは、事業コンセプトを「ジャパニーズ娯楽」としています。これは、パチンコのもつ素晴らしさや楽しさを伝えたい・広めたい。パチンコファンを増やしたい。という思いが込められています。パチンコは100年続いてきた「日本の娯楽文化」であり日本の歴史だと思っています。100年もの間、その時々の人々に寄り添い続いてきたこと自体、奇跡であり、世界のどこにもない日本にしかない魅力だと考えています。その魅力は「身近に行ける非日常をリアルに体験できる場であり、事であること」。お金や時間をかけなければいけない非日常と比べて、パチンコなら日本全国どこでも身近にあり行ける。ふと日常から離れたいと思った時に、一番近くにある非日常。それをリアルに体験できるのがパチンコ店という場であり、パチンコをするということです。この価値をどう伝えるか?ここに課題を感じていました。

◆パチンコと接点のないノンユーザーへのアプローチを狙ったオリジナルバラエティ番組への挑戦

――ノンユーザーとの接点を求める中で、昨年10月からスタートしたABEMAのパチンコ番組「パーラーカチ盛りABEMA店」へのスポンサードを開始されました。どういった経緯によるものでしたか。

遊佐氏:ABEMAさんとは2、3年前からお会いをしていましたね。その時から、今までとは違うことをしなければいけないと思っていたし、その「違うこと」が一緒にできるのはABEMAさんだとも思っていました。それから2年後くらいにお会いした時、我々がアウトプットすべきことが明確になっていたこともあり、ABEMAさんとなら今までと違う形でパチンコの魅力をノンユーザーに伝えられると思い、スポンサードを決めました。

 ABEMAさんが「今までと違うものを作る」という点を明確に提示されていたのが、とても重要でした。既存のパチンコ番組といえば、タレントさんの誰かが台に座って、打って当たって喜んで、後ろに玉が積まれている。でもこれは、パチンコをしない人からしたら何の面白みも興味もないんです。どうすれば興味を広げていけるかと考えた時に、題材こそパチンコだけど本当の意味でのバラエティ番組を作りたかったんですよ。パチンコに興味がある・ないに関わらず、出演しているタレントさんが好きだったり、企画がおもしろかったり。そんなバラエティ番組ができれば、パチンコそのものの価値変容にも繋がるのではないか。これをやりたいと思っていたところで、ABEMAさんと合致したという流れです。

――単なるスポンサーとしてだけではなく番組の内容についても、かなり積極的に加わっているというお話を聞きました。

遊佐氏:企画に対して口はめちゃくちゃ出していますね(笑)。会話のキャッチボールもとても多いし、本当にありがたいことだとも思います。ホールを運営し、経営している側の目線で「こういうものが面白いんじゃないか」「こういう事を伝えたい・広めたい」「このようにノンユーザーに感じてもらいたい」という点は、申し訳ないと思いながらも、かなり言っています。ただ、最後は制作するプロの方々に話を聞いてもらい、みなさんで考えてもらいたいという流れなので、ここはABEMAさんとやっていて良かったと一番に思える点ですね。作っている方々の熱量がものすごいんですよ。プロデューサーさんにも「パチンコユーザーだけが面白い番組にはしたくない。ノンユーザーが見たくなる番組にしてほしい」と伝えています。

◆世の中の空気感を変えたい――そのためにこだわったのは「旬なメディア・キャスト」と「嘘のない発信」

――これまでも他の媒体、プラットフォームなどで様々な取り組みをされてきたと思いますが、今回はなぜ「ABEMA」という媒体を選択されたのでしょうか。

遊佐氏:今、ABEMAさんが放送されている他の番組も含めて「良い」と思ったからですかね。スポーツにしてもドラマにしても、時代に沿って今のトレンドを掴んでいて、いろいろな方々に伝えるならこのプラットフォームだと思っていたので、プロデューサーさんから企画内容を聞いた時、次の日には(スポンサードの)お返事をしました。

――準レギュラー且つ来店イベント実施をかけて売れない芸人や解散したアイドルなどが過酷なサバイバルを争うオーディション企画「ミリオンサバイバル」も実施されました。振り返っていかがでしょうか。

遊佐氏:この企画もスポンサードを決めた段階でやりたい事として、要望をお伝えしていたものになりますが、全部面白かったですね。企画単体の内容というよりはストーリーですね。リアルだったというか(人生をかけた)演者の熱量が高く、嘘がないことが映像を見て伝わってきて、肌で感じる瞬間が多かったです。まさに、パチンコを題材とした、壮大なバラエティ企画・ドキュメンタリー企画になったと思います。優勝されたヤングスキニーのゴンザレスさんが「(パチンコが)社会的に低い感じの見られ方をされるのがしっくりこない」というようなことを最後に一言おっしゃっていたのですが、ああいう瞬間が欲しかったんです。ABEMAさんのバラエティ番組「チャンスの時間」でも藤田ニコルさんが「パチンコはデトックスみたいなもの」とおっしゃっていたことと同じで、作られた言葉ではなく、その人の想いとして、嘘なくこういう言葉が出てくる事に価値があると思っています。

 (番組アシスタントの)瀧山あかねアナも、いいなと思うところは「自分が好きなものを好きと言って、何が悪いの」という裏表のなさ、嘘のなさを感じる所ですよね。シンプルに自分が好きなものは好き、いいと思うものはいい。そんな発信こそが、今は受け入れられると思っています。「パーラーカチ盛りABEMA店」にしても「チャンスの時間」にしても、「パチンコが好き」とか「パチンコをしていると言っても大丈夫」という空気感を作り出せているのはとても良いことだと感じています。

――この空気感を作り出すために必要だったものは、何だとお考えですか。

遊佐氏:先ほどもお話をしましたが、今の時代に沿っているメディアさんと一緒に影響力のある方をアサインし、リアルであり嘘がない発信をすることこそが影響力であり空気感を作るものだと思います。自分が好きなタレントさんが共感しているものとして伝わるのがタレントパワーの強みですよね。ノンユーザーがユーザーに切り替わるところがハードルとしては一番高いですが、強烈な何かがあればノンユーザーも店に行ってくれると思います。

 例えば、AKB48のパチンコ台が初めて出た時は、パチンコ店でしか聞けない曲があり、手に入らないグッズがあったからノンユーザーが来た――。すごくシンプルなことだと思います。マルハン北日本カンパニーでも、昨年、小室哲哉さんによる完全オリジナル楽曲を制作してCDを店に置きましたが、全国各地からノンユーザーの方々が賞品を買いに来てくれました。今年の7月7日にも、小室哲哉さんに制作して頂いた楽曲をリリースする予定で進めています。

 このように、旬な方の影響力はとても重要なので、業界のブランディングにもつながる。旬な人のアサインについてはABEMAさんとたくさんお話をしましたし、このあたりの立て付けに関してはかなりしっかりやりました。

◆興味がない人たちに興味を持たせるこの取り組みは他の業界でも活かせる――産業自体の価値を高める動きを

――パチンコ業界と同じく、ノンユーザーをユーザーにすることに苦労している産業は多くあります。今回の事例を踏まえ、他の産業でも応用できるポイントがあるとしたらどこになりますでしょうか。

遊佐氏:基本的なフォーマットは、業態が変わっても同じ気がします。興味がない・無関心な人たちにどう興味を持たせるか。その入り口がドラマなのか、バラエティなのか、それともタレントさんなのか。それで言うとABEMAさんはいろいろと揃っていましたね。旬な方をアサインしながら番組企画も練られているのだと思います。物語で伝えるのか?体験で伝えるのか?今回の弊社は「パチンコ」としてのプロモーションを番組を通じて一緒に創りあげていますが、ユーザー向けの販売促進、セールスプロモーション企画もABEMAさんとはやりやすいと思いますよ。どちらにも対応することを一緒に考えてくれるのが、ABEMAさんの良いところだと思います。

――今後ABEMAに期待すること、そして「パーラーカチ盛りABEMA店」という番組に期待することをお願いします。

遊佐氏:先ほども少しお話しましたが、マルハン北日本カンパニーは事業コンセプトを「ジャパニーズ娯楽」としています。その意味合いは「パチンコファンを増やす」「パチンコっていいんじゃない?」と思ってもらうことです。 今後もABEMAさんと一緒にいろいろなものを形作っていきたいし、その広がりは既に感じています。そういう輪がABEMAさんとマルハン北日本カンパニーで、さらに広げられればいいと思います。

 基本的にブランディングというものは自社ブランドを高めるものだと思うのですが、我々が考えているのはパチンコ産業、パチンコそのものの価値を高めることです。お互い話し合いながら、最終的な企画のアウトプットがプロの方々によって面白くなり、多くの人に刺さるものになればいいなと思います。その輪が業界内外を超えて、ユーザー・ノンユーザーの方々に届いて、パチンコファンが1人でも多く増えることを考えて、今度も取り組んでいきたいと思います。

――ありがとうございました。

◆遊佐孝一郎

 株式会社マルハン 北日本カンパニー 営業戦略部 販売促進課 課長

「ABEMA」はテレビのイノベーションを目指し"新しい未来のテレビ"として展開する動画配信事業。

ニュースや恋愛番組、アニメ、スポーツなど多彩なジャンルの約25チャンネルを24時間365日放送。CM配信から企画まで、プロモーションの目的に応じて多様な広告メニューを展開しています。

お気軽にお問合せください。


>> ABEMA広告へのお問い合わせ
>> ABEMAの媒体資料のダウンロードページ