「脱ステロイド『療法』という用語を用いることで、ステロイド外用薬を使わないことをひとつの治療法として、あたかも疾患が治るかのような期待を抱かせる内容だった」
今月7日、「脱ステロイド治療」で肌荒れを克服した女性の体験談が地上波のテレビ番組で紹介され、専門家から異論が相次いだ。
【映像】「脱ステロイド療法は危ない」専門医が語る正しい知識と使用法
この放送をめぐり、日本皮膚科学会をはじめとする6つの学会と1つの患者会は抗議文を提出。また、「ステロイド薬の使い過ぎにより女性の体内でステロイドが作られなくなった」という内容についても科学的に明らかに根拠がないと指摘している。これを受けて、番組側は翌週の放送でステロイド外用薬の有効性と安全性を説明し、治療中の患者や家族に謝罪した。
長年、ステロイドと向き合ってきた麻酔科専門医で、YouTubeなどで医療情報を発信するみおしん先生は「ステロイドは怖いと言うイメージを変えなければならない」「脱ステロイド療法は危ない」と訴える。
「まずステロイドというのは、私たちの体の中でも作られているホルモンの一種なんです。副腎という場所で作られてるんですけど、それとは別で私たちの体がアレルギー反応、自分に対してひどく起こしてしまったり、自己免疫性疾患といって自分の細胞が自分を傷つけてしまうような病気になってしまったときに、それを止めるためにステロイドを使ったりしています」(みおしん先生・以下同)
実はみおしん先生も患者として、そして医師としてステロイドと長年関わってきた1人だ。
「私自身が小さい頃、小児期アトピーがひどくて、そのときに肘の部分とか真っ白になっていたので、ステロイドの塗り薬を使っていました。大人になってからは花粉症がひどいときとか、副鼻腔炎がひどくなってしまったときとか、悪化するとせき喘息になっちゃったりするのでそういったタイミングでお世話になっている患者の一人でもありました。麻酔科医としてはやっぱり喘息を持った患者が全身麻酔をするときに、麻酔中は大丈夫なんですけど手術が無事終わって、麻酔から覚めてくるタイミングで喘息発作を起こされる方がいらっしゃったりするので、そういうときにステロイドを使ったりします。大量に使っているところからいきなり減薬してしまうと、副腎不全というとても怖い病気になっちゃったりするので、私たち医療者は副作用を十分知ったうえで患者さんに必要なタイミングで投与しています」
また、みおしん先生はステロイドは専門家と一緒に使う分には非常に優れた薬で「怖い」というイメージを変えていかなければならないと訴える。
「1970年代に市販薬として皆さんが気軽に使えるようになってしまった分、買えちゃうから大丈夫だろうっていうかたちで使ってたり、医療者側もこれならいいでしょうと出していた時期があったと思うんです。赤ちゃんがひどいアレルギーになってしまったときに『ステロイド怖い』といって使わないことで痒くてかいてしまうと、どんどん悪化して皮膚が固くなってしまったりする。それがきっかけになって、アレルギーマーチといっていろんな食物アレルギーを一緒に引き起こしてしまうリスクになったりするので、ひどくさせる前に早めにステロイドを使って炎症を抑えてあげるというのがとても大切です」(『ABEMAヒルズ』より)
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