将棋の叡王戦五番勝負の第1局が4月28日に行われる。初防衛を目指す藤井聡太叡王(竜王、王位、王将、棋聖、19)は、3月9日に行われた順位戦B級1組最終戦以来、約1カ月半ぶり、2022年度としては初の公式戦が、いきなりタイトル防衛へつながる初戦となる。前日27日に行われた会見では「久々の対局ということで、普段以上に楽しみという気持ち」と、対局間隔が空いたことよりも、また真剣勝負の場に戻ってきたことを喜ぶようなコメントがあった。
【中継】叡王戦 五番勝負 第一局 藤井聡太叡王 対 出口若武六段
藤井叡王は現在最多の五冠を保持していることもあり予選・本戦の対局が減り、また竜王戦と王将戦では七番勝負をどちらも4連勝のストレート勝ちしたため、対局間隔が空いた。新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年の春には2カ月近く対局がなかったこともあるが、毎年50局以上指している藤井叡王にとっては長いブランクが置かれた格好だ。「3月の順位戦からしばらく対局が空いて、私にとっては叡王戦第1局が今年度の初対局。緊張感もありますし、年度のはじめのいいスタートを切れればと思います」と前向きに捉えた。
過去のタイトル戦では渡辺明名人(棋王、38)、木村一基九段(48)、豊島将之九段(31)と全て先輩と戦ってきたが、今回の挑戦者である出口若武六段(27)は、年齢は上ではあるものの、プロ入りは藤井叡王の方が早い。“先輩”、また棋士の序列1位に立つ者として胸を貸すという立場にもなったが「出口六段は非常にいい内容で勝ち上がってこられて、勢いがある手強い挑戦者です。自分が奨励会の頃に将棋を教えていただいたこともあって、本当にすごく温厚で思いやりのある方」と、受けて立つというような構えた姿勢は感じない。それよりも「久々の公式戦ということで、緊張感を改めて感じました。集中して全力で指したいです」と、盤上で全力を尽くすことだけを考える。
この叡王戦五番勝負を皮切りに、今年度は永瀬拓矢王座(29)が挑戦者に決まった棋聖戦、挑戦者決定リーグが佳境な王位戦と、続々と防衛戦が始まり、竜王と王将を守る戦いもある。また順位戦のA級に上がったため名人、王座、棋王という残る3つのタイトル全てに挑戦の可能性がある。「防衛戦が続くことになるので、まずはそちらをしっかり指していい将棋にしていきたいと思いますし、またそれ以外の棋戦でも順位戦や王座戦の対局も始まっていくことになるので、少しでも挑戦を目指せるように頑張っていきたいと思います」。前人未踏の八冠独占は、今年度達成されるのか。新年度初戦の出来は大注目だ。
(ABEMA/将棋チャンネルより)





