外角ぎりぎりいっぱいに狙い通りのスライダーが決まった瞬間、確かに何度も頷いた。エンゼルスの大谷翔平投手は6月22日(日本時間23日)のロイヤルズ戦に今季12試合目の先発登板。初回、先頭打者からいきなり2者連続安打を浴びたが、慌てずにアウトを重ねると2死一、二塁からロイヤルズの5番ドジャーに対し、カウント2-2から外角低めのストライクゾーンをかすめるようなスライダーで見逃し三振。2回以降は1本のヒットを許すこともなく8回まで投げ無失点、13奪三振の快投で6勝目を挙げた。序盤、中盤、終盤と配球、投げるボールの質も変えるクレバーな投球を見せていたが、何よりも快投を予感させたのは、ドジャーから見逃し三振を奪った後の頷きだった。
大谷は決して、立ち上がりのいいタイプの投手ではない。ストレートを引っ掛けて捕手が捕れないほど右打者の外角に大きく逸れることもあれば、逆に内角高めにすっぽ抜けることもある。変化球も同様に、悪い時はその切れ味を制御できないように曲がったり、曲がらなかったりする。ただこの日は、いきなり連打されたものの本人が首を傾げるようなコントロールミスはなし。だからこそ、落ち着いたまま投げられていたのだろう。
注目すべきはドジャーの打席だ。初球、外角低めにきれいなスライダーを投げて空振りを奪った。続いて2球目。今度もスライダー。ボールゾーンに外れたものの、切れ味の鋭さで空振りを奪い追い込んだ。3球目。2球目よりもボール1個分ほどストライクゾーンに近づけたスライダーを投げ込むと、見逃しストライクと思ったか、一瞬ベンチに帰りかけた。4球目にこの打席初のストレートを挟んで5球目。ここもまたスライダーだ。3球目よりもボール半個分ほど内側に入れて、外角のゾーンをかすめ取るような絶妙なコントロール。今度こそ球審の手が挙がると、大谷はベンチに戻りながら「うん、うん」というように何度も頷いた。
直後にも珍しいシーンがあった。ベンチに戻る最中、捕手のスタッシを呼び寄せてがっちりと肩を抱くと、何やら言葉を交わした。球審のストライクゾーンによるものか、それとも自分の調子を伝えたのか。この日は2番打者でもあり、ゆっくりとベンチ内で意見交換できる時間がないこともあったかもしれないが、それでもここまで急いで声を掛けることも珍しい。そんなことをするまで、大谷には何か確信めいたものがあり、すぐに伝えたかったのだろう。
この頷きの後、大谷はおもしろいように三振を奪う。108球のうちストライクは71球。スライダーの割合は4割を超え、その半分以上で空振りを奪った。回を追うごとに増えていく三振の数に周囲は徐々に歓声の声を大きくしたが、本人はもう初回からこの未来が見えていたかもしれない。
(ABEMA『SPORTSチャンネル』)
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