“貴族”の布陣は、「気の置けない仲」だった。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」のドラフト会議が4月1日に放送された。佐藤天彦九段(35)が今期の仲間に選んだのは、“桂馬の貴公子”こと三枚堂達也七段(29)とプロ入り同期の戸辺誠七段(36)。「普段から親しんでいる棋士」のコンセプト通りの選出に納得の表情を浮かべた。
前大会で驚異の勝率100%を叩き出した頼れるリーダーは、約5カ月間に渡る長期戦を見据えたメンバー選出となった。1巡目には、前期にチーム広瀬で活躍した三枚堂七段を指名。「三枚堂さんは後輩の中では結構付き合いがある棋士。若手の有望株でもありますし、指名させていただきました」と単独指名を叶えた。続く2巡目には、前回大会でタッグを組んだ佐々木大地七段(27)を選んだが、山崎隆之八段(42)との競合の末、くじ引きで譲る結果となった。
迎えた再指名では、ドラフト会議の実況を担当していたプロ入り同期の戸辺七段の名前をカードに記入した。第4回大会では渡辺明名人(38)の指名を受け、フィッシャールールも経験済み。「戸辺七段は僕にとっては奨励会時代から付き合いがあり、非常に仲のいい棋士で安心して指名できました。実戦的でパワフルな振り飛車を指されるので、フィッシャールールのような環境では力を発揮してくれるのではないかと期待しています」と語り、実況席が映し出された時の戸辺七段の笑顔弾けるリアクションもファンを沸かせた。
前回大会では7戦全勝。個人賞が新設された今期も勝率賞最有力候補と言えるが、リーダーとして見据えるのは「チームの勝利」だ。「もちろん全部勝てれば一番いいんですけど、まずは予選突破が第一目標。ABEMAトーナメントは予選が抜けられるかどうかでチームで戦う期間が長くなるので、チームのみんなで勝ち進んでいけるように頑張りたいと思います」と着実な前進を誓った。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)