将棋の藤井聡太竜王(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、20)が4月27・28日の両日に行われた第81期名人戦七番勝負第2局で渡辺明名人(39)を87手で破り、開幕から2連勝を飾った。本七番勝負は、4連覇を目指す渡辺名人と最年少名人獲得を狙う藤井竜王が激突するビッグマッチ。注目の第3局は5月13・14日に大阪府高槻市の「高槻城公園芸術文化劇場」で開催される。
「名人」と「竜王」の激突となったシリーズ第2ラウンド。挑戦者・藤井竜王の先勝から約3週間、注目の第2局は後手の渡辺九段が角換わりを拒み、矢倉模様の出だしとなった。長く難解な序盤戦が繰り広げられ、1日目の進行はスローペースに。嵐の前の静けさか、絶妙な間合いをはかったまま先手の藤井竜王の手番で封じ手の定刻を迎えた。
藤井竜王が封じた一手は、候補手の中でも最も激しい変化を含む香上がりの一着。2日目の昼食休憩を前に駒がぶつかり、戦いが始まった。繊細な駆け引きは高度な心理戦の様相を呈し、形勢は互角のまま終盤戦へ突入。渡辺名人は飛車を成り込み、先手の飛車角両取りで優位に立ったと思われたが、ABEMAの「SHOGI AI」は変わらず五分を表示していた。
一時は約2時間と大きく持ち時間の差が開いていた両者だったが、渡辺名人が終盤に長考を重ねて逆転。藤井竜王は香成から桂打ちのコンビネーションで後手玉の急所を正確にとらえて、抜け出すことに成功した。何とか追いつくべく先手の薄い陣形を目掛けて強気の姿勢を貫いた渡辺名人だったが、差は埋まらず。藤井竜王がそのまま押し切り、嬉しいシリーズ連勝を飾った。
本局の勝利で名人奪取へまた一歩前進した藤井竜王は、「序盤の構想の立て方と中盤で誤算があったので、そのあたりが次局に向けての課題と考えています。本局は苦しい将棋だったと思うので、しっかり振り返ってまた次に繋げられたらと思います」と一局を総括。一方、苦しい連敗を喫した渡辺名人は「常に苦労が多い展開だと思っていた。本局は中盤でぽっきり折れてしまったので、(次局以降)そのようなことがないようにやっていきたいと思います」とコメントした。
3連覇中の渡辺名人が防衛すると4連覇で永世名人資格に王手をかける一方、藤井竜王が奪取となった場合、史上最年少七冠と同時に谷川浩司十七世名人(61)が保持する21歳2カ月の史上最年少名人記録を更新する大勝負。若き挑戦者が、偉業達成に向けて2つ目の大きな白星を手にした。しかし、現在は自身の防衛戦となる叡王戦五番勝負の期間中でもあり、来週5月6日には第3局が予定されている。対局者も持ち時間も全く異なる2つのタイトル戦をこなすハードスケジュールで、藤井竜王がどのような戦果を残すのか、今後も目の離せない日々が続く。
将棋界内外からも大注目を集めている本七番勝負の第3局は、2024年秋に関西将棋会館の移転予定地がある大阪府高槻市へ。戦いの舞台は、今年3月にオープンしたばかりの「高槻城公園芸術文化劇場」へ移される。
(ABEMA/将棋チャンネルより)