7月6日(日本時間7日)終了時点で、打率.296(リーグ7位)、本塁打31(リーグ1位)、打点68(リーグ2位)と、打撃3部門でいずれもタイトルが狙える位置につけるなど、その打棒を文字通り“炸裂”させているロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平。そんな今季打撃好調の大谷には、NPBのみならずMLBでも“大先輩”にあたるイチロー氏や松井秀喜氏といった歴代の大打者たちと共通する“特徴”があるのだという。
【映像】大谷翔平、「目の使い方」を変えてボールをとらえた瞬間
通常、野球のバッティングにおいては、右打者は左目、左打者は右目といった具合に、ボールを投げる投手側にある目でボールを見定める“片目使い”が一般的。無論、個人差はあるが、打者が投手と対峙する際には、投手に近い側の目が重要視されることは変わりなく、プロ野球の世界においても、そちら側の目の視力が、加齢などの要因で低下したことなどにより、ボールが見えづらくなることで打撃面で深刻な影響を与え、現役引退を決意したという話をしばしば耳にするのはこのためだ。また、逆に言えば、たとえこうした「ボールが見えづらくなる」という状況に陥らなかったとしても、ボールがより良く見えることは、打者にとって大きなアドバンテージになることは言うまでもない。基本的に打撃というものは、ボールを「いかにして捉えるか」はもちろんのこと、「いかにして見るか」という点が重要だからだ。
NPBの福岡ソフトバンクホークスや、MLBでプレーした経験のある川﨑宗則氏が、7月1日放送の『ABEMAスポーツタイム』(ABEMA)で語ったところによると、「今年の大谷選手はですね、僕が見るキーポイントとしてはですね、目の使い方です。目なんですね。」「今年は大谷選手、両目を使って、“両目使い”なんです」と、昨季までとは違い、今季の大谷は、打席でボールを迎える際に、これまでの“片目使い”から“両目使い”に変えたことで、打撃が向上した可能性があるのだという。というのも、「どうしても(投手と)正対してるんで、どうしても首がこっち(後ろ側)に向きやすくて。後ろの目が、どうしてもバットを振るときに消えてしまうんですね。それを今年の大谷選手は両目で(見ている)。」「首をしっかり正面向いて(構えている)。」と、“片目使い”では、文字通り、投手側に近い目を軸にボールを捉え、「逆の目」をそれに従わせる形で使うものの、打撃の際に「逆の目」の目線が切れてしまうため、捉えられる範囲に限界が出る。しかし今季の大谷のように、首を投手に向かって正面にし、両目でしっかりとボールを見ることができれば、こうした問題もなく、“片目使い”に比べればはるかにボールが見やすくなり、「ボールを見極めることができている。見るだけじゃない。バッティングは見極めないとはいけない。これができている。」のだという。
しかもこうした“両目使い”は、「松井秀喜先輩がこう(首の位置を動かす動作を)したり、イチロー選手がこう(バットを投手方向へと真っ直ぐに構える動作を)してしっかり合わせたり。いいバッターほど、両目で見る傾向があるんです。」(川﨑氏)と、イチロー氏や松井氏をはじめ、良い打者ほど、取り入れる傾向がある方法なのだという。
自身の“バットの振り”だけでなく、“ボールの見え方”にも新たな手法を取り入れるという“進化”で打撃をさらに向上させ、今や三冠王さえも夢ではないほどの好成績を挙げている大谷。その止まることのない“進化と飛躍”に、今後もますます目が離せなくなりそうな気配だ。
(『ABEMAスポーツタイム』)