メジャー1年目のカブス今永昇太投手が、全米の野球ファンの心を震わせている。5月1日(日本時間2日)のメッツ戦に、今季6試合目の先発登板を果たすと、7回87球を投げて被安打3で無失点、7奪三振1四球と完璧な内容で無傷の5連勝を飾った。これまでメジャーで活躍してきた投手たちが、特徴ある変化球をウイニングショットにしてきたが、今永の場合は伸びるストレート(フォーシーム)が絶品。メジャー平均を大きく上回る回転数により、ボール1個分以上は浮き上がって見えるほどの威力になっている。
【映像】メジャー平均よりボール1個分も伸びる今永のストレート
6試合で5勝、防御率0.78はどちらもメジャー全体トップという圧巻の数字。今季の新人王候補どころか、これほどまでの結果に、早くもサイ・ヤング賞候補になるのではという声も出ている中、今永のストレートは気持ちよくメジャーの屈強な打者たちを抑え込んでいる。
メッツ戦終了時点で、今永は6試合で全492球を投じたが、そのうちストレートの割合は58.3%。メジャー全体では30.7%なので、歴然とストレートの割合が多い。ここにスプリット、スライダー、カーブ、ツーシームの順で変化球が加わるが、ストレートで押し込んでからスプリットで仕留めるという、シンプルなパターンでも抑えられているのは実にたくましい。
今永のストレートは150キロ前後。左投手でも160キロ連発という投手がいるメジャーの中では、お世辞にも速いとは言えない。ただし今永はボールに多くのスピンをかけ、落下を防ぐ、見た目には「伸びる」ストレートにすることで、相手打者を翻弄している。ストレートの被打率はメジャー全体で.243、被長打率も.407と高い中、今永の場合は被打率が.137、被長打率が.233と、明らかに低い。また、回転数(rpm)を見ると、メジャー平均が2288.3に対し、今永は2424.3と非常に多いことがわかる。これによって、メジャー平均より8.2センチほどボールが地面より離れた軌道を通過することで、打者にとっては「伸びる」「浮き上がる」ように見えている。
メジャーの公式球は直径が2.86~2.94インチ(約7.3~7.5センチ)となっている。打者からすれば他の投手のストレートに比べてボール1個分以上、普段のイメージよりもボールが上を通過するため、自然と空振りやフライアウトが増えてくる。また、よりボールを効率よく飛ばす「バレル」の考え方が浸透しているメジャーにおいては、バットをボールに対して下から入れるようなスイングも多いため、伸びる(ように見える)ボールと軌道が重なるところは非常に少ない。
バットがボールの下側に入りやすくなる分、パワーある打者が高々と打ち上げそのままスタンドインというケースも少なからず出てくるだろうが、そこで恐れず回転のきいたストレートを投げ込んでこそ、今の快進撃が長く続くはずだ。
(データ協力:データスタジアム)
■大谷翔平 人気記事
・ドジャース(大谷翔平所属)試合日程・時間・放送予定 【2024シーズン】
・大谷翔平 成績・打席結果【2024シーズン】
・大谷翔平 ホームラン成績【2024シーズン】
・ドジャース大谷翔平 年俸推移・予想
・大谷翔平の速報・今日のニュースを見る
■Pick Up
・嫌われない広告とは?「ABEMA」のスポーツ×広告事例から紐解く
・スポーツコンテンツに適したの“ライブ特化型広告”って何?
・槙野智章氏と考える「スポーツ×マーケティング」の可能性