現地のリアルについて、駐在歴5年で先日帰国した商社マンは、「(危険を感じたことは)まったくない」と語る。むしろ「スマホ1個で生活できる」といった利便性を得ていたため、一連の反日報道には「残念な気持ちになる。いろんな考え方の人がいて、一個人と全員の考えは違う。国力が日本は強くなく、仲を悪くしていいことは、ひとつもないと思う」と話す。
中国・大連で6年間、勉強と子育てに奮闘した経済ジャーナリストの浦上早苗氏は、現在所用で滞在中の大連から、「ダブルスタンダード」な状況を解説する。
「日中関係の悪化や震災時なども、中国人は(日本に)来ている。だが、それはSNSに出さない。知られたくない、批判されたくないためだ。ここ4、5年は日本バッシングが起きている時に、みんな(SNS投稿を)しない。空気を読んでいる感じだ」(浦上早苗氏)
浦上氏は東日本大震災の直後、学校の保護者グループチャットに「放射能汚染を日本にみんなで見に行こう」と書かれて傷ついた経験がある。とはいえ「一番緊迫したのは尖閣だ」と振り返りながらも、直接的な敵意は一度も感じなかったという。「結局、反日感情は個人による。身の危険は感じないが、差別されている意識は少し感じる」と説明する。
中国では、満州事変が始まった9月18日が「国恥の日」とされている。しかし「大連でも9月18日には『918を忘れるな』というサインが流れるが、若い人は『新年おめでとう』ぐらいの印象で気にしていなかった」そうだ。
これまでの“反日”の傾向について、浦上氏は「時々猛烈なものが起きる。尖閣諸島や(福島第一原発の)処理水、首相の靖国参拝など、うねりが起きて下火になるの繰り返しだ」と考察する。「10年前は政府のプロパガンダや報道に、国民がデモをしたが、今はSNSが先だ」。
浦上氏によると、「中国政府や地方警察は今、SNSの虚偽投稿を取り締まっている」というが、「自国の治安維持のためで、反日投稿は『日本のこと』は管轄外になっている」のが現状だ。
反日感情の背景として、「大国のプライドと、愛国心が強まっている」ことを挙げる。「同時にアメリカからの制裁で、被害者意識が高まり、防衛本能がある」としながら、「中国人は日本に対して特別な関心を持っているわけでもない。韓国にもアメリカにも同じことをやるが、靖国参拝などで急に強くなる」と解説した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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