■「年金は100年単位で考えるもの」「話が噛み合わない」
批判の中には、「もう年金制度自体やめてほしい」という声もある。玉木氏は、「1人息子と1人娘が結婚したカップルは、2人で親4人をみる。それに対して、5人兄弟と5人姉妹が夫婦になったとすると、10人で4人。さらに、前者の親が100歳まで長生き、後者の親がわりと早くに亡くなったとすると、扶養負担は何十倍も違ってくる。こういう“親ガチャの極み”とも言うべき状況を、年金はなくすことができる。自分の収入に応じたお金を払っていれば、親のことは国・社会全体が面倒を見てくれ、負担が平準化される。“自分にだけ重い負担が直撃する”という恐怖から解放されるのが非常に大事だ」と述べる。
また、「年金は100年単位で考えるものだ」と指摘。「景気の変動はあるものの、数年単位で何かをするという政策ではそもそもない。短期的な動きに対しては、政府あるいは中央銀行が反応できる」「20代の方が年金をもらう40、50年先のことを考えるのは難しいが、60歳になった人に年金の話をすると必ず食いついてくる。ある種別の生き物で、20代の方には目をつぶって入ってもらう、包摂することがある程度は必要だ」と主張した。
これに石川氏は「話が噛み合わない」と反論する。「制度を維持する前提で話をされているが、社会保険料が倍になってなんとか支えられていて、高齢者はこれからも増えていく。中には資産がある方もいるので、貧困の方を支えるべきではないか。生活保護や別の仕組みがあるわけで、必ずしもみんなが年金制度を使う必要はないとも考えられる」。
さらに、「やはり賦課方式は人口構造的に難しいだろうと。“みんなで支えていく”というコンセンサスが本当に得られているのかも、疑問を感じている。国民の負担率は潜在的には50%を超えているわけで、これ以上負担したくない人、不安に思う若者は多いと思う。社会保障は生活保護や最低保障年金など最低限を残して、厚生年金は積立金を崩しながら廃止する方向でいいのではないか」との考えを示した。
たかまつは「世代間格差は問題視しているし、現役世代の18.3%負担を大きいと思う方が多いのは本当にそのとおりだと思う。しかし、社会保険を大きく見直す時、今の年金受給額を下げるのか、医療の質を下げるのか、というのはなかなか結論が出ない。“手取りを増やします。じゃあ何を減らしますか?”ということをしっかり議論しないと、抜本的な改革は難しい」と述べた。
■たかまつなな「年金への憎悪みたいな声が…」 “廃止”で個人が将来に備えられる?
