伊藤匠叡王(22)への挑戦者を決める第10期叡王戦本戦トーナメント2回戦が2月12日、東京・千駄ケ谷の将棋会館で行われ、藤井聡太竜王・名人(王位、王座、棋王、王将、棋聖、22)が戸辺誠七段(38)に82手で勝利した。この結果、藤井竜王・名人は準決勝に進出。リベンジ挑戦権獲得まであと2勝とした。次戦では、鈴木大介九段(50)対 糸谷哲郎八段(36)戦の勝者と対戦する。
若き絶対王者が、“八冠奪還ロード”をまた一歩した。藤井竜王・名人は、前期の五番勝負で伊藤七段(当時)に2勝3敗で敗れ、タイトル戦で初めて敗退。保持していた全八冠から叡王位を失冠し、七冠へ後退した。リベンジ挑戦権獲得へ向け注目を集めている叡王戦本戦トーナメント2回戦では、鋭い攻めが持ち味の戸辺七段と激突。この日の戦型は、先手中飛車の対抗形となった。
定跡形の出だしから戸辺七段が新手を見せたが、藤井竜王・名人は持ち時間を使いながらも冷静に対応。難解な中盤戦と見られていたが、戸辺七段が強く踏み込んだところから一気に終盤戦へと突入した。戸辺七段が経験値を活かすかと思われていたが、抜け出したのは藤井竜王・名人。強気の攻めを繰り出して先手陣へと迫っていった。形勢、持ち時間ともに苦しくなった戸辺七段も辛抱を見せていたが、王者の猛攻はどこまでも厳しい。藤井竜王・名人が盤石の指し回しを見せ、快勝を飾った。
藤井竜王・名人、終局後のコメント




