【写真・画像】「原発マネー」揺れる住民たち…推進派・反対派も心は一つ「宝の海を遺したい」 6枚目
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核燃料サイクル

 国内には青森県むつ市に一つだけある中間貯蔵施設。一体どんなものなのか。国は原発から出た「使用済み核燃料」を「再処理工場」に持ち込み、プルトニウムなどを回収して、MOX燃料に加工し、再び原発で使う「核燃料サイクル」を掲げている。

 しかし、再処理工場などが未完成のため、原発にたまり続けている「使用済み核燃料」を原発の敷地外に一時的に保管するのが「中間貯蔵施設」だ。使用済み核燃料は、金属性の容器に入れて貯蔵する。

 上関町は中間貯蔵施設の設置によって50年で360億円の交付金が入ると試算。年間の予算規模が30数億円の町にとって大きな財源だ。「中国電力の子会社とか、関連会社の研究施設なども含めて、ここの地域振興に寄与するようなことを何か考えてくれと言っていた」。中国電力に「町の振興策」を要望していた西町長。その回答が「使用済み核燃料の中間貯蔵施設」だった。

「原発計画の交付金に期待してきた人たちも、当面は先行きがない中で、上関の宝、観光、自然、海産物でまちづくりをし始めたところに、まさにまたこういう上から無理やりに核のゴミというのは本当に許せない」(高島さん)

「推進・反対で息を吹き返したみたいにいろいろ伝えられるけど、そっとしとけという話。中国電力も良かれと思って中間貯蔵施設を持ってきたと思うけど、まず個々がしっかり勉強してほしい」(小浜さん)

 中国電力の申し入れから16日後、町議会が開かれ、賛成が7人、反対が3人で「中間貯蔵施設」建設に向けた調査の受け入れが決まった。高島さんたちは経済産業省に「中間貯蔵施設」計画の中止を申し入れた。「もしここに中間貯蔵施設が建設されたら、最終処分場になるのではないかという懸念を強く持っている」。

 着工から30年以上が過ぎた青森県・六ケ所再処理工場は、これまで27回、完成が延期されてきた。事業者の日本原燃は「2026年度中」の完成を目指すとしているが稼働の見通しは立っていない。

住民たちの海を思う心は一つ
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