■住民たちの海を思う心は一つ
2024年4月、鹿児島大学の学生が魚の研究をしていたちょうどそのころ、中間貯蔵施設の候補地で動きがあった。中間貯蔵施設のボーリング調査(穴を掘って地盤の状況や地層境界の深度などを調べる地盤調査)が開始されたのだ。
「自分の屋敷に穴を掘るのに、そんなに難しいかとか素人考えには思う。先日、高島美登里さんの紹介で、ゴリゴリ反対の方が取材させてくれと俺のところに来て、美登里さんの紹介だからどっちみち反原発。大阪の労組の人だったか。てっちゃん(自分)が推進派というのを分かっていて、反対派と推進派の交わり方をちょっと勉強させてくださいと来た。
元は推進派と反対派じゃん。なんでそんなに長くできるんですかね、とかいう。お互い信頼しあってやるんだからと。こっちの考えも押し付けたくないし、美登里さんも向こうの考えをわしに押し付けることもなく。マイペースで、お互い立場があるんだから、お互い尊重しながら交われるところは交わっていきましょう今まで通り、というような感じの、いい距離感、いい関係を保つのが秘策じゃないかと思う」(小浜さん)
2023年6月、小型のイルカ・スナメリを観察するイベントが開かれていた。
高島美登里さん
「上関の今、足元にある宝をみんなで共有して、町のみなさんが自信と誇りを持ってもらって、みんなが元気になりたい。その結果として、原発とか中間貯蔵施設に対してはみなさんが自分の価値観で答えを出してもらえればいいなと思っている」(高島さん)
小浜鉄也さん
「ここの自然が好きだし、ここで生まれて育って、よそに一歩も出たことないんだけど。無限大でこの海を利用して、なんかできるという。可能性が大な海と思う。原発だけではないと思う。この海を利用するのは」(小浜さん)
宝の海、可能性を秘めた海。海を思う心は一つ。原発マネーで町も一つになれるのか──。
(山口朝日放送制作 テレメンタリー『宝の海と原発マネー』より)
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