「『収入増やしたいですか?』と聞くのが正解」
厚生労働省による男女間賃金格差と女性の所定内給与の地域差(2023年)を見ると、東京圏は女性の賃金水準が高く男女間賃金格差も比較的小さいが、地方では格差が大きく、全国平均は男性を1とすると女性の賃金は0.86となっている。
この数値が女性の地方流出に影響を与えているのだろうか?
教育経済学を専門とする慶應義塾大学の中室牧子教授は「自分と同じような学歴やスキルを持っている男性が自分よりも高い給料を稼ぐような地域で、女性がそこに残って自分が活躍できるという見通しを持つことは考えにくい。やっぱり男女の賃金格差は、女性の地方流出に繋がっていると考えるのが自然だと思う」と述べた。
前出の小安さんは、地方での女性の雇用創出や地方のジェンダーギャップ解消に取り組んでいる。女性が非正規であることが男女の賃金格差に直結するため、女性を正社員にするように働きかけることも多いという。その際、「『正社員になりたいですか?』と聞くのはダメで『収入増やしたいですか?』と聞くのが正解」だという。
この言葉を受けて中室教授は「『正社員になりたいですか?』という問いは『長時間労働に耐えられますか?』という問いとイコールだと思う。先ほどの研究のように労働時間が昇進を決めているということだと、そのことを聞かれているみんな思う。でも確かに小安さんのおっしゃる通りで、『収入を増やしたいですか?』とう問いもあると思うし『自分の能力に合った仕事をしたいですか?』『専門に合った仕事をしたいですか?』『やりがいのある仕事をしたいですか?』みたいに本人たちが一体何を望んでるのかをきちんと聞くことは非常に重要なことではないか」と述べた。
思い込みを取り除く
