準備に約2年かけ、犯行当日については、「ジーンズの下にはジャージを着て二重にしていた。ガラスを突き破るとき、レザーやジャージは破れやすくガラスで破けてしまうが、厚手のジーンズなら大丈夫。手袋も二重にして、あらゆるものを二重にした。スキーマスクにキャップ、ヘッドフォンもしていた。警察無線を傍受して、警備員や警察の声をしっかり聞いていた。当時オランダでは警察無線の傍受機は合法的に購入することができた」と明かす。

 はしごを使い、ガラスを破り侵入してから、「実は、どの絵を取るか決めていなかった。頭にあったのは絵を盗むことだけ。(窓の)穴の大きさに入る絵にしなければならず、限られた時間しかなかったので(私と仲間で)それぞれが別の絵を狙った。捕まる可能性が7割、逃げ切れる可能性が3割だったが、運が味方してくれた」と振り返る。

 ゴッホの絵画を危険を冒してまで盗んだが、ドュルハム氏は「(事件の)2~3年前に銀行強盗をしていたから億万長者だった。お金は必要なかった」といい、「なんで盗んだのか…チャンスがあったからだ」と述べた。

 ドュルハム氏が盗んだ絵画の行方について、玉川氏は、「買い手を探し、最終的にはイタリアマフィアに買ってもらった」といい、「盗品の買い手はなかなか見つからないが、麻薬犯罪組織を率いている人が地方当局に捕まったとき、自分の刑期を下げてもらうための取引材料として使うことが多いそうだ」と説明。

 現在のドュルハム氏の活動については、「盗まれた名画を取り戻す活動してる美術探偵とタッグを組んで、犯罪の手口や犯罪者の心理状況を分析して警察を助ける仕事をしている」と話す。

■超絶テクで描いたニセモノ300点 天才贋作師の告白
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