300人ほどの傍聴人が見守る最高裁大法廷で、飯塚さんは15人の裁判官に向け、語り出した。「私は16歳のときに、何も説明されないまま優生手術を受けさせられました。優生手術は、私から幸せな結婚や子供という、ささやかな夢をすべて奪いました。長い間たった一人で声を上げ続けました。歯を食いしばって訴え続けました」。

 飯塚さんの表情をじっと見つめた裁判官。意見陳述は、およそ5分間にわたった。終了後、飯塚さんは「ほっとはしてない。まだ分んないから。総理大臣ともできれば話したい。言いたいことをずばずば言ってやりたい」と語っていた。

「自分でも不思議だね、28年ですかね。長かったね。(やめようと思ったことは)ない。大変だけど人生がなくなっているので、やめる気持ちはありませんでした。全然分からない中でやったので。でも、ずいぶん(情報)開示しましたね、よくやったなって自分ながら」(飯塚さん)

 この時、飯塚さんに「期待と不安、どちらの方が大きいか」と尋ねると、「不安」だと明言した。「今までが駄目だったからまたかなって。最高裁だから良い判決であってほしいって思う反面、どうなるのかなという思いがあるので」。

岸田文雄前総理大臣との直接面会
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