ところが、ここから“事件”が起きた。菅井八段が指した△5二歩が妙手。一見、タダで取れるように見えるが、取った瞬間に△2八飛と王手角取りが突き刺さるという罠。これを見た中国・四国の山崎隆之九段(44)が「△5二歩、取れないじゃん」と興奮すると、糸谷八段も逆転のにおいを嗅ぎつけ「わかんないですよ。ラストワンチャン!」と声を出した。
残り時間も少なく、この一手に惑わされたのか、谷川十七世名人の指し手に迷いが生じると、形勢グラフは徐々に後手が回復。解説・村中七段も「ちょっと慌てますね…。怪しい感じになりました」と語ると、ついにグラフは後手寄りに逆転。糸谷八段が「これは△8五桂で勝つ!行けるぞ!」と立ち上がりながら吠えると、山崎八段は「ホントに行けるの?これ…」と半信半疑ながら、応援を続けていた。
結果、菅井八段は糸谷八段の言葉通りに△8五桂を打ち込み、はっきりと形勢逆転。後手優勢ながら難しい終盤ではあったが、絶好機を逃さない菅井八段が見事な逆転勝利を決めていた。
◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合は監督と出場登録棋士4人の計5人が参加。全員が1局ずつ指す「ステージ1」と、ステージ1で勝った棋士が負けるまで指し続ける「ステージ2」に分かれ、5人を先に倒した方が勝利チームとなる。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)




