■サラリーマンでIOC委員、そして会長選へ

 IOC委員にはオリンピック選手なども多い中、渡辺氏は高校時代に体操競技を始めると、大学時代に留学先のブルガリアで新体操に出会った。ジャスコ(現イオン)に入社後、サラリーマンとして新体操教室などを展開すると、1992年に現在の日本新体操連盟を設立。2013年に国際体操連盟の理事、さらに2017年に会長に。2018年にはバッハ会長の推薦でIOC委員に就任すると昨年、イオンを定年退職した。競技者としてよりも、様々な形で競技、選手をサポートしてきた存在だ。

 ギリシャで行われるIOC会長選は、100人余りいるIOC委員による投票で決まり、過半数獲得者が出るまで最下位の候補者を除きながら繰り返す方式だ。任期は8年で、1回に限り4年の再選が可能。現職のバッハ会長は12年務めた。渡辺氏は、会長選に出馬した初めての日本人になった。

 出馬の動機について渡辺氏は「国際体操連盟会長として、8年間で162カ国に行き、各国のスポーツ事業も見て、関係者ともいろいろな話をしてきた。パリオリンピックもすごく成功したが、各国のスポーツ事業を見ると、スポーツのプレゼンスが非常に低く『スポーツは必要ないもの』くらいに思われているが、これは違う。小さい子どもたちにしっかりとしたスポーツ教育をすることで、心身ともに健康になり、それがやがて素晴らしい国作りになり、それを実感している国もたくさんある。オリンピックだけではなく、世界のスポーツのプレゼンスを上げたい」と述べた。

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