■金価格は過去約50年で88倍以上 なぜ今、高騰?

日本貴金属マーケット協会・池水雄一代表
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 現在、紛争などの地政学的リスクで通貨に対する信頼が揺らぐ中、金の価格が右肩上がりに上昇している。金は信頼できるのか? 専門家と投資家に話を聞いた。

 日本貴金属マーケット協会の池水雄一代表は、金の価格が「もうとどまるところを知らないような上がり方」をしていると語る。

「アメリカは、もう(ゴールドを)交換できないという宣言をしたのがニクソンショック。1971年。それ以降が変動相場制が始まり、今に至る。35ドルの固定相場が終わり54年経ち、ゴールドは、(1オンス)35ドルだったものが今3100ドル、88倍以上になっている<*1オンス=約28グラム>」

 特に2023年頃から価格の動きが激しくなっているという。その理由について池水氏は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻と、それに対するG7諸国による経済制裁が影響していると指摘する。

「アメリカは、あからさまに米ドルを経済的武器として使い始めた。それに対しロシアは当然、中国やBRICSプラスの諸国は、ドルを持ってることが資産ではなく、リスクになってしまった。それらの国々の中央銀行が、ドルを売り出して過去2022年、23年、24年と三年連続で、合計千トン以上のゴールドを買っている。彼らが買ったら財産として金庫にしまうため、マーケットに出てこない」

 こうした状況が、金の価格を市場最高値に押し上げる一因となっている。

■金の役割は「資産保全」 長期保有が基本
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