「ふきこぼれ」の実態とその認識
Education Beyondの小林氏によると、小学校高学年の3000人以上の児童を対象に行った調査で、13%が授業が物足りなくて悩んでいると回答したという。これがいわゆる“ふきこぼれ”で授業が難しくて困っている児童とほぼ同じくらいの割合だった。
慶應義塾大学教授の中室牧子氏は、埼玉県から受託を受けて学力調査の分析を行っている。埼玉県の公立小中学校の小学校4年生から中学校3年生まで約30万人のビッグデータを学力でセグメント化して分析したところ、学力が非常に高い子どもが全体の約0.3%(約750人)、逆に学力に問題がある子どもも同じく約0.3%(約750人)いることがわかったという。
「できる子とできない子が学校集団の中に同じくらいの割合でいるという状況だ。こうなると、教師は非常に教えにくい。ある子は進みすぎてつまらないと感じ、ある子は全然ついていけないという子が同じ教室にいると、教師は本当に大変だと思う。公教育の場合、教員の目線はどちらかといえば学力の低い子に向かいがちであり、座っているだけという状況の、非常に飛び抜けて学力が高い子たちも置き去りになってしまっている」と中室氏は指摘する。
授業についていけない子には補習をしたり繰り返し教えたりすることはできるが、すでに理解している子に対して進捗度を上げていくことは公教育では難しい面がある。
効果的な学習アプローチ
