効果的な学習アプローチ
中室氏は「最近では、小林氏が指摘していたように、オンラインでタブレットやコンピューターを使った学習で本人の習熟度に合わせた問題が出てくるアダプティブラーニングのようなものは一定有用だという研究成果がある。しかし、それだけでは彼らの知的な好奇心を満たすことはできないので、小林氏がまさに述べているように、民間のサービスや機会も包摂していくようなあり方が重要だ」と述べる。
教師は多様な学力レベルの生徒を教えるとき、どこに焦点を当てるのか。
「これはアメリカの研究で実際に調査されているが、学力の分布で見ると、教師は山の高いところ、つまり中間層を見ているという研究が多い。通常、学力は正規分布しているため、教師たちは真ん中を見ている。しかし、時に『バイモーダル』と呼ばれる二山分布、つまり山が二つになるような分布をする場合がある。高い学力の子とそうでない子がクラスで一緒になっているようなケースだ。このような場合、教師たちは下の方の子たちの山の中心を見る傾向がある」
このため、上位層の子どもたちはより物足りなさを感じることになる。
ふきこぼれても学べる学習プログラムについて2つ紹介された。「ビヨンドスクール」は自由研究形式で、講師がオンラインで生徒をサポートし、研究内容は応募時に興味があることをA4用紙にまとめて設定するというものだ。また「CTY日本プログラム」では、講師がアメリカからオンラインで授業を行う。
中室氏は「小林氏のEducation Beyondが優れていると思うのは、海外で進んでいる先行事例をしっかり研究しておられることだ。アメリカには『ターマンサーベイ』と呼ばれる、ギフテッドと言われるIQが分布の上位5%の子どもたちを70年間追跡した調査がある。このような研究を通じて、知能指数の高い子たちをどう教育することが良いのかという研究が進んでいる。小林氏は軽井沢にあるインターナショナルスクール『アイザック』の理事長でもあり、海外でデータやエビデンスに基づいて練られたプログラムを参考にして日本流にしようというアプローチは非常に合理的だ」と評価する。
今後の展望と課題
