「ひょえ~」と驚いたかと思えば、すぐに読み切り。この切り替えも強さの一端か。日本全国を8つのブロックに分けた団体戦で行われる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 2025」の決勝、関東B 対 中部が4月19日に放送された。第6局、関東Bの監督代行・永瀬拓矢九段(32)と、中部・澤田真吾七段(33)との対戦で、永瀬九段が放った一手に藤井聡太竜王・名人(王位、王座、棋王、王将、棋聖、22)が瞬間的に驚くものの、すぐに手の効果を見極める様子にファンから騒然となる一幕があった。
藤井竜王・名人と永瀬九段といえば、まだ藤井竜王・名人がデビュー間もないころから研究・練習パートナーとなり、共に腕を磨いたのか業界内、ファンの間でも有名な話。今でも永瀬九段は、藤井竜王・名人について聞かれれば饒舌となり、また藤井竜王・名人も永瀬九段の研究量、将棋に向き合う姿勢には尊敬の念を抱く。それだけに両者ともに、指し手の持つ意味は、すぐに分かるほど知り尽くしているとも言える。
スコア3-2と中部がリードして迎えたステージ2の初戦、第6局。流れを取り戻すべく登場した永瀬九段は、先手番から居飛車・穴熊に。対する澤田七段は四間飛車に金無双という構えで応じた。戦いも100手を過ぎて終盤、両者ともに相手玉への寄せ合いとなったところ、107手目に永瀬九段は▲6一金と打ち込んだ。玉に迫る一手だけに、見ていた周囲の棋士たちもヒヤリとするもの。控室で見守っていた藤井竜王・名人も「ひょえ~」と、悲鳴にも似た声をあげて驚いた。
永瀬九段の一手、その価値は…
