シャアが口にしたのは「軍を離れたガルマのおもりでもさせたいのか?」という一言。直接登場こそしないものの、このセリフだけでガルマは現在も生きており、軍籍をはなれているという、かつての世界とはまったく異なる状況が伝わってくる。
ファーストガンダムでは無念の最後を遂げた彼が、この世界では命を拾い、軍からも距離を置いて穏やかに暮らしている……そんな未来が垣間見えたセリフだった。
ザビ家の中でもっとも若く、もっとも早く命を落とした男が、この世界ではもっとも早く“戦いから降りた”存在になっていた。それこそが“ジオンが勝利した世界”のひとつの象徴なのかもしれない。
同時に、ファーストガンダムでガルマと深い仲だったイセリナ・エッシェンバッハ(CV:潘恵子)の存在も気になるところだ。アニメ「機動戦士ガンダム」第11話「イセリナ、恋のあと」では、彼の戦死を知ったイセリナが部下のダロタと共に復讐を決意し、ガウ攻撃空母でガンダムに特攻。最終的には自ら操縦桿を握って突撃すると、重傷を負いながらもアムロ・レイを狙撃しようとして力尽き、機体から転落死する。
「ガルマ様の仇!」という絶叫はアムロに深い衝撃を与え、その後、名も知らぬ女性として静かに砂漠に埋葬されている。
ジークアクスの世界でガルマが生きているのなら、イセリナの人生もまた、まったく異なるものになっていたはずだ。ガルマと2人で幸せな結婚生活を送っているかもしれないし、あるいはまた別の穏やかな日々を歩んでいるかもしれない。
ガルマが生きている――それだけで、なぜか「今度こそ幸せを掴んでいるのでは」と思わされてしまう。そんな“if”の想像こそが、ジークアクスというパラレルワールドの醍醐味だ。
「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」は、1979年から続く「機動戦士ガンダム」シリーズの最新作。宇宙に浮かぶスペースコロニーで平穏に暮らす女子高校生のアマテ・ユズリハが、少女ニャアンとの出会いにより、非合法なモビルスーツ決闘競技《クランバトル》に巻き込まれていく物語だ。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズなど手がけるスタジオカラーとサンライズの共同制作が話題を呼び、テレビシリーズに先駆けて今年1月に公開された劇場版は、興行収入30億円を超える大ヒットを記録した。
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