管理職「兼務」経験者のAさんが語る“リアル”
また、IT関連の企業で管理職の兼務経験があるAさんは「営業の中で直接営業する部隊と、営業サポートの部隊と、営業企画の部隊の3部門を兼務した経験がある。また、別のタイミングでは部長を兼務して本部長も兼務する、レイヤー(階層)が違うものを兼務する経験もある」と話す。
関連性のあるポジションを、3年にわたって複数兼務した経験があるAさんだが、さらに来期からは、営業関係に限らない職種との兼務も予定しているという。なぜ、管理職の兼務をすることになったのだろうか。
Aさんは「(人が)いなかったからというのが一番の理由。あと、私が見られる範囲。リソースの問題でどれくらいの部門をまたがってみても大丈夫なのか、その時々によって違うと思うが、来期に関しては2つ見た方が多分効率がいいし、それを見られるリソースがあるというところで兼務になっている」と説明する。
上司の指示でマネジメントの兼務を始めたAさん。難しい反面、良い発見もあったという。
「同じ属性の人たちをマネジメントしていると、それがあまり汎用的なマネジメント能力にはつながらないところはあると思っている。違う人をやると『こんな考え方もあるのか』と、部下の考え方に刺激を受けたり教えられたりすることもある。それが後々の自分のビジネスパーソンとしての力に生きてきていると感じるところもあり、すごく楽しい」(Aさん、以下同)
一方で、兼務であるがゆえにもどかしい思いをしたこともあるとAさんは話す。
「やはりキャパオーバーになるところはある。明らかにもっとマネジメント層がここの部門に力をかけていたらもっといい成果が出るのに、応えられないのは正直あると思う。良い兼務・悪い兼務というところでいうと『リソース配分が適切に行われそうか』が、一つ大きな鍵にはなると思う」
兼務を通して、そのメリットやデメリットを含めて多くの気づきを得たAさん。今、自身の経験をどう捉えているのだろうか。
「(兼務を経験して)私は良かったと思っている。ただこれは人によるし、私がたまたま良い環境で兼務をさせてもらったという“生存者バイアス”みたいなところもある。『自分を守ってくれる上司がいたから頑張れたな』というふうに思っており、そういう気持ちで任命してあげたり、そう思っていることをちゃんと伝えたりするのが、すごく重要だと思う」
「兼務疲れ」を防ぐポイントとは?
