将棋の第10期叡王戦五番勝負第5局が6月14日、千葉県柏市の「柏の葉カンファレンスセンター」で指され、伊藤匠叡王(22)が挑戦者の斎藤慎太郎八段(32)に120手で勝利。伊藤叡王が3勝2敗でタイトル初防衛を決めた。防衛会見では喜びを語る一方、同学年の“絶対王者”藤井聡太竜王・名人(王位、王座、棋聖、棋王、王将、22)との実力差について「距離感広がっている」と語った。
2期連続のフルセットを制し、タイトル初防衛を飾った伊藤叡王。今期は斎藤八段を挑戦者に迎え、フルセットの大熱戦を演じた。タイトルを守り抜いた伊藤叡王は、防衛会見で「本局もかなり厳しい時間が続き、失冠を意識する場面もあった。こういう結果につながったのは不思議な感じ」と正直な思いを吐露。その表情には、安堵とともに疲労感も見えた。
伊藤叡王は、前期の叡王戦で当時八冠王だった藤井竜王・名人を破り自身初のタイトルを獲得。同学年のライバルの牙城を崩し念願の戴冠を果たしたことは「自分の人生の中でも大きな出来事だった」と振り返る。しかし、モチベーションの面では微妙な違いも生まれたといい、他棋戦では思うような結果に繋がらなかったこともあった。「タイトルを獲る前と後で生活を変えたつもりはなかったが、どうしても気持ちの面で変化はあった」とし、この日までの道のりは平坦なものではなかったようだ。
「藤井竜王・名人との距離感はあまり縮まってはいない、どちらかというと広がっている」




