■「ボクサーくずれ」偏見で殺人犯として逮捕

【写真・画像】袴田事件の58年、精神をむしばんだ“死刑の恐怖”…獄中からの手紙「ボクサーであったが故にデッチ上げられ…」 2枚目
拡大する

袴田巌さん、獄中からの手紙1989年3月21日(一部)

 元プロボクサーで元死刑囚の袴田巖さんは、長年冤罪を叫び続けてきた。「捜査当局に多くのデッチ上げがあり、私が前々から叫んでいるように、この冤罪事件は、戦後史を画する一大フレームアップの典型なのです」(獄中からの手紙 1987年2月21日)

 巖さんは3歳上の姉・ひで子さんと静岡県浜松市で暮らす。毎日午後3時に家を出て、駅の近くを散策する。2014年3月27日に釈放されたが、死刑囚の日々は長く続いた。

 獄中で書いた1万枚もの手紙。そこには、巖さんから見た事件の全貌が記されている。1966年6月30日、全てはあの日から始まった。静岡県旧清水市・みそ会社専務の家が全焼し、めった刺しにされた一家4人の遺体が見つかる。警察が目を付けたのが巖さんだった。

「ボクサーくずれ」偏見で殺人犯として逮捕
この記事の写真をみる(6枚)