棋界をけん引するトップ棋士でも見えない世界観を、若き絶対王者が見せつけた。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2025」予選Bリーグ・第1試合、チーム藤井 対 チーム天彦が6月21日に放送された。第2局に登場した藤井聡太竜王・名人(王位、王座、棋聖、棋王、王将、22)は、増田康宏八段(27)を相手に圧巻の終盤力を発揮。チーム天彦控室の佐藤天彦九段(37)、広瀬章人九段(38)をも感服させていた。
チーム藤井の先勝で迎えた第2局には、リーダーの藤井竜王・名人が登場。対戦相手は元チームメイトで前期の棋王戦コナミグループ杯五番勝負でも対戦したチーム天彦の増田八段となった。
角換わりの出だしとなった一戦では、先手の藤井竜王・名人が速攻。増田八段は意表を突かれる展開だったか、持ち時間を消費しながらの戦いとなった。それでも最新形に精通する増田八段は崩れることなく抜け出し、目まぐるしい展開の中で主導権を握った。
息の詰まるような局面で、藤井竜王・名人はコップに注がれた水をゴクッ。増田八段リードと見られていた局面でしっかりと立て直し、再び五分の形勢に戻してみせた。緊迫の攻め合いへと発展すると、増田八段の2枚の桂馬が先手陣へ迫る中で、藤井竜王・名人は冷静に▲6六歩。チームメイトの斎藤慎太郎八段(32)は「粘り強いというか、さすがですね」と感嘆の声を漏らした。
「だから詰将棋やっとけって話なんだけど(笑)」
