■「身元引受人がいない」市営住宅で立ち退きを迫られ…
国近さんが住む市営住宅
そんな中、国近さんのもとに市営アパートの担当者から電話がかかってくる。
「連帯保証人とか いろいろな書類を提出して下さいと、書類を頂いたんですけど、連帯保証人の欄が埋まらないんですよ。なって下さる人がいないんですよ、私には……。身元引受人という人もいないし、親戚も疎遠になっちゃってるし」(国近さん)
国近さんは市営アパートに住んでいるが、入居を認められていなかったのだ。公営住宅への入居権は原則、親から子へと引き継ぐことができない。入居希望者の公平性を図るためとして、国土交通省がガイドラインを示しているのだ。親が死亡した後も住み続けることができるのは60歳以上の人や障害者などに限られている。国近さんも父親が死亡すると、アパートからの立ち退きを迫られた。
それ以来、不正入居の状態となり、家賃が2倍以上(7800円から1万5000円・年度により異なる)に引き上げられた。
2022年、60歳になり、 入居が可能となったが新たな問題が浮上する。契約には連帯保証人が必要だったのだ。
さらに、市営アパートの家賃は収入によって決まるため、入居者は毎年、市に収入を申告しなければならない。しかし、国近さんは死亡した父親の弘さんが契約者になっているため、収入申告書を提出できずにいた。
「(収入申告書を)出しても、僕の収入だけでは受け取ってくれないし、(父は)死んで、いないのに収入なんてなんですもんね」「連帯保証人が どうしてもみつからないので、何か方法がないですかというのを聞きに行かないといけません」(国近さん)
市役所で名義変更の手続きを行う
