そこで国近さんは、宇部市役所に足を運んだ。「また書類を渡されました。親戚の名前を書いて、どうしても支援ができない、連絡が取れないということを書いてもらって。父の戸籍、僕の戸籍かな……。これと一緒に提出してもらう」。

 国近さんは、うまく説明できていないようだった。相談する内容を整理して、もう一度、窓口に向かった。連絡が取れる親戚がおらず、連帯保証人を頼める人がいないこと。市営アパートを出ると、他に住む場所がないことなどを伝えた。

「市役所へ行って、名義変更の手続きを一応終えることができた。身元引受人の署名がまだだけど」(国近さんの日記 2023年3月16日)

 連帯保証人の免除が認められ、ようやく入居者になることができた。家賃も正規の料金に戻り、およそ1万円下がった。代わりに「身元引受人」の届け出を求められた。「身元引受人」には入居者が死亡した後の手続きが求められる。国近さんはまだ身元引受人を見つけられていない。

「この食パンも120(円)なんぼだったのに、今170(円)なんぼだから。上がりましたね。シイタケも今日は高かったから、半額のを買いました。電気とかあんまりガスは使わないようにとはしてますけど。うちはエアコンないんでね、まあ、その分はいいと思うんですけど」(国近さん)

記録的な猛暑が続くある夏の出来事
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