輪廻転生とは、人の魂は前世、現世、来世と連続しつながっていて、肉体を変え何度も生まれ変わるという仏教の考えだ。それを存続させるとあえて明言する狙いは、どこにあるのか。
チベットの政治に詳しい東京大学大学院 法学部 法学政治学研究科の平野聡教授は、「これは政治家の発言として、中国共産党の関与を一切、無効化する意味がある」と推測する。「これまでのダライ・ラマ14世と、中国との複雑な関係における、1つの大きな転換点。ある意味で総決算だ。宗教を信じる人(チベットの人)が、どのように信仰を続けたいのか。一方でそもそも中国共産党は宗教を全く信じない。中国が宗教を国家のためにねじ曲げようとしていると、まさにこの2つの考え方の大きな衝突が起きている。このことが今回の声明によって明らかになった」。
ダライ・ラマ14世は、1967年に初来日して以来、23回にわたり日本へやってきた親日家だ。東日本大震災の翌月には、四十九日法要も執り行った。こうした平和活動は世界的にも評価され、1989年にはノーベル平和賞も受賞している。
アメリカのオバマ元大統領やトランプ大統領とも会談経験があるが、彼が世界の要人と会うたび、中国政府は厳重な抗議の声明を出す。過去には中国側のスパイによると思われる暗殺計画や暗殺未遂疑惑が、海外メディアによって報じられたこともある。
「輪廻転生」どうやって後継者を探す?
