■節子さんが各国首脳に送り続ける平和の手紙

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アンドリューさん、節子さん、アリ エサッシ下院議員

 節子さんは自宅である手紙を見せてくれた。「世界の約190カ国の首脳に私の名前で全部手紙を送った」。

 節子さんが力を尽くした「核兵器禁止条約」の成立から7年(2024年7月末時点)、署名国は増え続けているが、日本やカナダは背を向け続けている。

 ある日、節子さんのもとを訪ねてきたのはカナダ自由党の国会議員、アリ エサッシ下院議員だ。トルドー首相と同じ党の議員に「あるお願い」をしようと考えていた。広島に投下された原爆にはカナダで生産されたウランが使われていたとされている。政府にその歴史を認め、核兵器禁止条約に参加するよう求めているのだ。

「数年前、トルドー首相(当時)に手紙を渡してもらったはずなのですが、その後の返信がありません。なぜかわかりますか?」(節子さん)
「いいえ…わかりません。まだ手紙の返信が来ていないと首相に伝えてみましょうか」(アリ議員)
「でも…」(節子さん)
「それか私からメールでもう一度手紙を送ってみましょうか」(アリ議員)
「実は来年に向けて、また首相に新しく手紙を書こうとしています。若い世代に自分の住んでいる国の歴史を正しく学んでほしいのです。政府はどんな歴史であっても隠すことなく学ばせるべきです」(節子さん)

 対談を経て、アリ議員は手紙を必ずトルドー首相に渡すと約束してくれた。

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