■岸田文雄氏との縁、2人をつなぐ姉と甥
岸田文雄自民党政調会長(当時)と節子さん
「核兵器禁止条約に、日本も参加してほしい」との思いから節子さんは「特別な縁のある人」のもとへ向かっていた。自民党の岸田文雄政調会長(2018年当時)だ。
「我々、近い縁続きなんですよね、ですから私の祖父のいとこの岸田人見のところにサーローさんのお姉さんが嫁いでいると」(岸田文雄氏)
2人をつなぐ岸田綾子さん(節子さんの姉)と英治さん(甥)は、原爆によって亡くなった。2017年の節子さんのスピーチでも語られている。「私が広島のことを思い出すとき、いつも初めに思い出すのは原爆によって4歳で亡くなった甥のことです。小さな体は溶けて、黒い肉の塊に変わり、見分けがつかないほどでした……」。
節子さんは、遠縁である岸田氏への直談判を試みたのだ。「あの時は(直談判は)かなり良い印象を受けた。この人にもう少し時間を提供して考えてもらえば、気持ちが変わるかもしれないと」。
それから4年が経った2022年、思いを託した岸田氏は総理大臣になった。同年、岸田氏は総理就任後初の墓参りに訪れ、綾子さんと英治さんの墓に線香を供えた。
2023年5月のG7広島サミット
